
有望に見えた次点3候補、コアに足すと価値ゼロ
研究207のFDR(偽発見率)近傍で選出した3つの候補を、研究200や204で定めた厳格なフローにかけて審査しました。結論から言うと、全候補が不採用です。

図: ウォークフォワード(前進検証)の考え方。過去でルールを決め、まだ見ていない未来で試します(後出しを防ぐ)。
研究207のFDR(偽発見率)近傍で選出した3つの候補を、研究200や204で定めた厳格なフローにかけて審査しました。結論から言うと、全候補が不採用です。 今回の審査対象である「コア」のシステム構成(現在運用中のもの)は、PF(プロフィットファクター:総利益÷総損失。1を超えると黒字)が1.69、DD(ドローダウン:資産の山からの下落率)が-8.6%、月利1.007%という成績です。これに対して、候補を加えたときにリスク効率がどう変化するかを検証しました。
検証結果の比較
| 候補 | PF | DD | 判定 |
|---|---|---|---|
| gold_H1_heikin | 1.51 | -9.6% | 否 |
| gold_H1_ichimoku | 1.35 | -11.4% | 否 |
| chfjpy_H1_connors | 1.07 | -12.4% | 否 |
| ※コアの数値:PF 1.69 / DD -8.6% / 月利 1.007% |
金H1トレンドのジレンマ
ゴールド(金)のH1(1時間足)を用いたトレンド手法については、ヌル対照(ランダムな売買でも勝てるかどうかという基準)をクリアする本物の参入α(優位性)を確認できました。研究200で「本物」と判定されたものと同格の性能です。 しかし、実際に組み込むと問題が発生します。現在、コアには既にゴールドのスリーブ(運用戦略の枠組み)が2本(ATRキャンドルD1とTJL-gold D1)組み込まれています。ここにゴールドの手法を足すと、ゴールドへの集中が強まり、DDがリターンの向上スピードを上回って拡大してしまいました。 その結果、同DD換算(同じリスク水準に揃えた場合の期待利益)で見ると、月利が1.007%から0.80%〜0.95%へと低下してしまいます。リスク調整後のパフォーマンスが悪化するため、採用は見送るのが妥当という判断です。
結論と今後の方向性
今回の検証で、センサス生存13件とその近傍の処理は完了しました。採用したのはwgapのみで、他は既存手法と役割が被る「冗長なもの」か、今回のように「ゴールドへの集中」を招くものばかりでした。 ゴールドの別時間足分散については、既存のD1スリーブを減らしてH1へ振り替える設計も理論上は考えられます。しかし、これは重みの最適化を伴うため、OOS(サンプル外データ)での頑健性を重視する方針(研究209)により棄却済みです。ゴールドの保有量全体を再設計するような大きな変更は、別トラックでの検証として「攻めの第2システム」という文脈で検討する以外に道はありません。
この検証のつながり
この検証は、過去の次の検証を踏まえています(前回ダメだった→今回こうした、別ロジックとの比較など)。