月替わりの優位性はスプレッドに全部食われていた

却下手法 · 1 min

月初のタイミングを狙う「ToM-H1(月末最終1時間足から月初にかけての数時間だけ保有する手法)」の検証が終わりました。結論から言うと、この戦略は不採用です。

図: 週末ギャップ・フェードの実例(GBPNZD 1時間足・実データ)。週末をまたいだ下ギャップの埋め戻りを取りに行きます。

図: 週末ギャップ・フェードの実例(GBPNZD 1時間足・実データ)。週末をまたいだ下ギャップの埋め戻りを取りに行きます。

月初のタイミングを狙う「ToM-H1(月末最終1時間足から月初にかけての数時間だけ保有する手法)」の検証が終わりました。結論から言うと、この戦略は不採用です。 もともと理論上の数値ではPF(プロフィットファクター:総利益÷総損失。1を超えると黒字)が3.11、月利+0.231%とかなり優秀な成績が見込めるはずでした。しかし、実際に運用コストを考慮すると、その数字は幻だったことが分かります。

なぜ理論値と乖離してしまうのか

この戦略の最大の弱点は、エントリーのタイミングが「サーバー時間の0時ちょうど」であることです。これはFX市場で最もスプレッド(売値と買値の差=実質的な取引手数料)が広がる、ロールオーバー(日付変更時の決済・新規建て替え)の瞬間を直撃してしまいます。 過去24ヶ月のティックデータで実測したところ、平常時の深夜と比べ、0時直後の0〜10分間はスプレッドが日中の3〜5倍に跳ね上がっていました。特にGBPNZDのような通貨ペアでは、最悪の場合でスプレッドが28.8pipsに達することもあり、エントリーした瞬間に大きなコストを支払うことになります。

別の時間帯にずらせば解決するのか

スプレッドが落ち着く1時間後にエントリーをずらして検証してみましたが、結果はさらに悲惨なものでした。

検証条件PF月利
理論値(コスト考慮なし)3.11+0.231%
1時間遅らせてエントリー0.70-0.070%
PFが0.70まで落ち込んだことからも分かる通り、この手法が利益を生むための優位性(α)は、月境界後のわずか1時間に完全に集中しています。少しでもエントリーを遅らせると、利益の源泉そのものが消えてしまうのです。

コストを加味した最終的な成績

実際に発生するであろうコスト(スプレッドの拡大やスリッページ)を厳密に計算してシミュレーションした結果がこちらです。

  • PF:1.05
  • 月利:+0.012%
  • DD(ドローダウン:資産の山からの下落率):-6.4% PFが1.05ということは、手数料やコストを引くと、ほぼ利益が残らない状態です。これでは、リスクを取って運用する価値はありません。 今回の検証で、月境界を狙う戦略は「コストが利益を完全に食いつぶしてしまう」ことがはっきりしました。似たような手法である週末の窓埋め(wgap)は、コストを支払った後でも利益が残る例外的なケースでしたが、今回の月境界戦略については、現時点での結論は「不採用」です。 指値注文を使ってスプレッドを回避する設計も理論上は考えられますが、注文が約定しないリスクや、相場の急変(テールリスク)を考慮すると、これ以上深追いする優先度は低いと判断しました。

この検証のつながり

この検証は、過去の次の検証を踏まえています(前回ダメだった→今回こうした、別ロジックとの比較など)。