
ボラ急拡大時だけ緩める、弱いが本物の防御を追加
前回、株価指数(US500)の急落時に備える「G4」というガードシステムを導入し、一定の成果を得ました。

図: モンテカルロの考え方(シミュレーション例)。あり得た口座の運命を何千通りも再生し、運の幅ごと評価します。
前回、株価指数(US500)の急落時に備える「G4」というガードシステムを導入し、一定の成果を得ました。ただ、検証を深めていくと、金(XAUUSD)のボラティリティ(価格変動の激しさ)が急拡大する際、特定のEA(sat2やtjl)が同じタイミングで損失を積み上げ、全体のドローダウン(資産の山からの下落率)を大きくしていることが分かりました。 今回は、この「ボラティリティとモメンタムの刈り取り」によるリスクを抑えるため、新たなガードを組み込んだ検証結果を報告します。
新ガードによるドローダウン抑制の試み
まずは、簡易的な計算(日次掃引)で、どれくらい効果があるかを確認しました。金や円のボラティリティ比率(vratio)が1.5を超えた際、sat2などのロットを5日間だけ半分にするというルールを追加したところ、最大ドローダウンは-7.65%から-6.9%〜-7.0%程度まで改善しました。 月利も+0.974%から+1.055%〜+1.061%へと向上し、一見すると「リターンを減らさずにドローダウンだけを減らせる」という理想的な結果に見えました。 しかし、ここで一つ重要な注意点があります。あくまで「単日の最大損失」については、G4導入前と比べても-2.14%から-2.11%と、ほとんど変わらなかったのです。つまり、このガードは「一撃の大きなダメージ」を防ぐものではなく、「じわじわと積み重なるドローダウン」を削るためのものだと言えます。
破綻確率と実エンジンでの「裏取り」
次に、より現実に近いシミュレーション(MC=モンテカルロ合格率:過去のデータから将来の破綻確率を推定するもの)を行いました。 計算上は、ガードを入れることで破綻確率が下がることが確認できました。例えば、kcap(資金管理の厳しさを示す指標)を2.5に設定した場合、破綻確率は4.1%から3.2%まで低下します。これなら、同じ破綻確率の範囲内でロットを少し引き上げ、月利を上乗せできそうです。 ところが、実際にEAのプログラム(エンジン)にこのロジックを組み込んで再検証したところ、計算とは異なる現実が見えてきました。
- 新規のみ縮小のコスト: 簡易計算では「期間中すべて半分」としていましたが、実際には「新規の建玉だけロットを半分にする」という動きになります。その結果、月利は+0.982%から+0.951%へと、わずかに低下しました。
- 利益と安全のトレードオフ: 破綻確率を下げられるのは確かですが、それによって月利も下がってしまうため、当初期待していた「0.13〜0.21%の月利アップ」は実現できませんでした。
結論:今回は見送り
今回の検証を通じて、このガードは「攻めの運用」においては、すでにG4で限界(天井)に達しているという結論に至りました。
- 攻めの運用(kcap2.5など): 破綻確率を下げようとすると月利も同等に下がるため、利益を増やすための手段としては機能しません。
- 保守的な運用: ファンデッド(プロップファームの資金運用)の初期段階や、個人の口座を平滑化したい場合には有効です。 「ガードを重ねれば重ねるほどリターンが上がる」というわけではなく、むしろ複雑さが増すだけという結果です。今回はこのガードの実装は見送りとし、今後は資金管理そのもののスケーリング(口座数やサイズを増やす方向)に注力していくのが正解だと判断しました。
この検証のつながり
この検証は、過去の次の検証を踏まえています(前回ダメだった→今回こうした、別ロジックとの比較など)。