
損切りの74%は救えない、利確目標は大勝ちを刈るだけ
損切りトレードをTP(テイクプロフィット=利益確定)で救済できるか、というテーマを検証しました。結論から言うと、TPを設定しても損切りは減りますが、利益は伸びないという「勝率の罠」に陥るだけでした。
損切りトレードをTP(テイクプロフィット=利益確定)で救済できるか、というテーマを検証しました。結論から言うと、TPを設定しても損切りは減りますが、利益は伸びないという「勝率の罠」に陥るだけでした。 今回検証したのは、円クロス4通貨ペアで動かしているトレンドフォロー型EA「tc_fx」です。このEAは現在、SL(ストップロス=損切り)を3ATR(アベレージ・トゥルー・レンジ=ボラティリティの3倍)に設定し、TPは設けずにシグナル決済(チャネル割れ)を基本としています。このスリーブ単独の成績は、2015年から2026年までのデータで月利+0.201%、PF(プロフィットファクター=総利益÷総損失)1.29、最大DD(ドローダウン=資産の山からの下落率)-7.8%です。
損切り組の「含み益」を分析する
まず、これまでの全2051件の決済のうち、損切りとなった677件(全体の33%)を詳しく調べました。ここで使ったのがMFE分析です。MFEとは、各ポジションが決済されるまでの間に、一時的にどれだけ含み益が乗ったかを測る指標です。
- 損切り組のうち、+0.5R(リスク量の0.5倍)にすら届かなかったポジションが73.9%に達しました。
- +1Rまで届いたのはわずか6.9%、+2Rに至っては1.6%しかありません。
- 損切りとなったトレードのMFE中央値は0.22R、平均でも0.37Rです。 これに対し、利益が出ているトレードのMFE中央値は2.39Rでした。つまり、損切りになるトレードは「含み益が乗っていたのに急落して損切りになった」のではなく、「最初からほとんど伸びずに、そのまま損切りラインまで突っ込んでいった」ものが大半なのです。TPを置いて損切りを救おうとしても、救えるのは損切りトレード全体の6.9%(全体から見ればわずか2.3%)に過ぎないことが分かります。
TPを設定したときの成績変化
実際にTPを導入した場合の成績をシミュレーションした結果がこちらです。
| 設定 | 勝率 | 月利 | PF | DD |
|---|---|---|---|---|
| TP無し | 56.9% | +0.201% | 1.29 | -7.8% |
| TP 1ATR | 75.3% | -0.009% | 1.05 | -13.4% |
| TP 4ATR | 65.1% | +0.164% | 1.25 | -8.1% |
| TP 8ATR | 60.1% | +0.182% | 1.27 | -7.3% |
| TPを設置して早期に利確すると、確かに勝率は上がります。しかし、PFや月利はTPを置くほど悪化しました。特にTPが低いと、本来大きく伸びるはずだった利益を早々に刈り取ってしまうため、結果として成績が落ち込み、再エントリーの回数が増えてDDも-13.4%へと拡大してしまいます。 |
なぜTPが機能しないのか
今回の検証で、TP設定が「否」である理由は明確になりました。
- 損切り組に救済すべき含み益がほぼ存在しない(74%が+0.5R未満)。
- TPを設けると、このEAの利益の源泉である「大勝ちテール(大きく利益が伸びる局面)」を削ってしまう。 損切りを減らそうと出口を工夫しても、防御効果はあっても利益を増やすことには繋がりません。このEAで利益を伸ばすための道は出口の調整ではなく、リスク管理や資金のスケーリングにあるということが、改めて裏付けられました。
この検証のつながり
この検証は、過去の次の検証を踏まえています(前回ダメだった→今回こうした、別ロジックとの比較など)。