テールの正体は満載ではなく少数の大逆行だった

平均回帰 · 1 min

「sat2」という手法が抱えるテールリスク(稀に発生する大きな損失)への対策を検討した結果、エンジンをアップデートすることにしました。今回の検証で見えてきた事実と、実装した内容をまとめます。

「sat2」という手法が抱えるテールリスク(稀に発生する大きな損失)への対策を検討した結果、エンジンをアップデートすることにしました。今回の検証で見えてきた事実と、実装した内容をまとめます。

同時建玉キャップというアプローチの限界

以前、「建玉(ポジション)の数を制限すればリスクが減るのではないか」という仮説を立てて検証しました。具体的には、総数制限や円クロス通貨の制限などを試しましたが、結果は芳しくありません。

手法月利最悪日の損失(最大DD)
キャップなし+0.514%-1.20%(2016-11-09)
cap2(2本制限)+0.441%-2.23%
cap3r(3本+リスク配分)+0.514%-14.9%(DD悪化)
検証の結果、いわゆる「5銘柄満載」の状態がリスクを招いているわけではなく、わずか2〜3銘柄の建玉であっても、相場が大きく逆行すれば損失が拡大することが分かりました。つまり、建玉数を制限してもテールリスクの根本的な解決にはならず、むしろ利益機会を削るだけの結果となったのです。

実効性の高い対策:BE1.0Rの導入

一方で、すでに導入済みのBE1.0R(損益分岐点を改善する仕組み)の効果は絶大でした。

  • BE1.0R適用後のsat2:月利+0.566%(PF 1.44 / DD -7.06%) BEなしのベースラインと比較すると、過去のワースト日(2016-11-09や2015-08-06など)の損失が軒並み圧縮されています。以前の検証ではテールリスクを過大評価していましたが、現行の運用環境はすでに当時より改善されていることが確認できました。

株ショックガード(G4)の実装方針

次に、株価急落時にリスクを抑える「G4」という仕組みの検証です。既存の建玉を強制決済する方式と、新規エントリーのみを縮小する方式を比較しました。 結論として「新規エントリーのみ縮小」を採用しました。この方式は、月利を犠牲にすることなく(むしろベースラインより高い数値を維持)、クラッシュ時の最大損失を効果的に抑えられます。部分決済や復元といった複雑な処理が不要で、システム上のリスクが極めて低いのも採用の決め手です。

アップデート内容(Core System v1.6.0 / EA v1.12.0)

今回の検証を踏まえ、以下の仕様で実装を完了しました。

  • システム本体: Core System v1.6.0へ更新。ショック発生時に新規リスクを0.5倍に抑えるロジックを搭載。
  • EA設定: 株ショックガード(InpEqShockGuard)を標準でONに設定。US500が5日間で一定以上下落した場合に5日間稼働します。
  • 運用上の変化: リスク管理が向上したため、資金管理指標(kcap)を1.5から最大2.5まで引き上げることが可能です。これにより、リスクを抑えつつ月次の出金期待値を最大62%向上させることができます。 今回のアップデートで、sat2のテールリスク対策は「建玉制限」から「ショック時の新規エントリー抑制」へ切り替わりました。今後はこの状態で運用しつつ、個人口座への移植や、kcap引き上げ幅の最適化を進めていきます。

この検証のつながり

この検証は、過去の次の検証を踏まえています(前回ダメだった→今回こうした、別ロジックとの比較など)。