他人の好成績ローテ検証、正体は後知恵の銘柄選びだった

トレンド · 1 min

外部リポジトリ「codex-stock-backtest」で公開されている、Tactical月次ローテーション戦略を検証しました。この手法は「63日間の勢い(モメンタム)と移動平均線(SMA200)を使い、市場の調子に合わせて銘柄を入れ替える」というもの。

外部リポジトリ「codex-stock-backtest」で公開されている、Tactical月次ローテーション戦略を検証しました。この手法は「63日間の勢い(モメンタム)と移動平均線(SMA200)を使い、市場の調子に合わせて銘柄を入れ替える」というもの。公開データでは15年間で約138倍(年率38.96%)という驚異的な結果が示されています。

忠実な再現と結果の確認

まずは公開されているルールをそのまま実装し、過去のデータで動かしてみました。配当を考慮しない価格データ(auto_adjust=False)を使用し、コストを段階的に変化させたところ、以下の結果が得られました。

コスト設定成績(累計)年率(CAGR)月利PF最大下落率(MDD)
base (0.02%)+12561%38.1%2.73%3.06-30.9%
realistic (0.10%)+10834%----
stress (0.25%)+8203%----
主張されている数値とほぼ一致しており、ルックアヘッド(未来の情報を先読みする不正)のない、誠実な実装であることを確認しました。

なぜこれほど高い成績が出るのか

この戦略の成績を分解してみると、成功の理由が見えてきます。

  • ユニバース(選定銘柄)の影響: そもそも使用している11銘柄をただ持っているだけで、年率26.4%の成績が出ます。ルールを適用しての38.7%という数字の半分ほどは、銘柄選びの段階で決まっていたことになります。
  • 特定の銘柄への依存: NVDA(エヌビディア)を除外すると年率は32.3%に下がり、さらに半導体・AI関連銘柄をすべて外すと22.5%まで急落します。つまり、この戦略の「背骨」は半導体セクターの強さそのものです。
  • 中立な条件での検証: 試しにセクターETFなどを含む一般的な銘柄群で同じルールを回してみると、年率8.0%(PF 1.67、MDD -22.8%)となり、SPY(S&P500)を買い持ちした場合の14.2%に大きく劣後しました。 つまり、ルール自体が市場平均を大きく上回る魔法のような力を持っているのではなく、2026年現在の視点で「過去に強かった銘柄」をあらかじめ選んでいる点が、突出した成績の主因です。

検証の結論と学び

ランダムに選んだ銘柄群と比べても、今回のユニバースはトップクラスの成績を残しており、これは「結果を知った上での選定」と整合します。また、2003年からの期間で検証すると最大下落率が-39.3%に達するなど、主張されている「MDD -30%以内」という前提も期間外では崩れました。 実運用には向かないという判断に至りましたが、今回の検証からは以下の学びが得られました。

  • レジーム縮退の有効性: ベンチマークのSMA200を基準にリスクを50%減らす仕組みは、下落局面のダメージを抑える効果として機能しています。これは、以前検証した「動的k」や「フラットガード」の考え方と共通する有効な手法です。
  • 寄与の分離: 手法を評価する際、「銘柄選び(ベータ)」と「売買ルール(アルファ)」を分けて考える重要性を再確認できました。今後は外部の手法を検証する際、この「中立ユニバースでの比較」を標準手順として取り入れます。

この検証のつながり

この検証は、過去の次の検証を踏まえています(前回ダメだった→今回こうした、別ロジックとの比較など)。