ランダムウォーク度で相場を選ぶ案は未来を当てない

却下手法 · 1 min

今回の検証テーマは「相場がランダムウォーク(でたらめな動き)からどれだけ外れているかを測れば、未来のトレンドを予測できるのではないか?」という仮説の検証です。

今回の検証テーマは「相場がランダムウォーク(でたらめな動き)からどれだけ外れているかを測れば、未来のトレンドを予測できるのではないか?」という仮説の検証です。 以前試した手法(ERやADXなど)は、いわば「バーの中の動きの質」を見ていましたが、今回はより直接的に、リターンの自己相関構造そのものを測るアプローチです。具体的には、分散比検定(VR:1ならランダム、1より大きければ持続、小さければ平均回帰)と、Hurst(ハースト)指数(0.5ならランダム)という2つの統計量を使いました。

測度は安定しているが、未来は予測できない

まずは、この指標が何を教えてくれるのかを調べました(FX4通貨ペア、100日窓)。 結果、これらの指標は「今の相場の性質」を安定して示すことはできました。過去の性質が未来に引き継がれる度合い(持続性)もプラスで、何らかの相場の特徴を捉えているのは間違いありません。 しかし、肝心の「この先トレンドが出やすいか」という予測については、全くの空振りでした。先行してトレンドが伸びた期間との相関を調べても、むしろ逆の数値が出てしまうほどです。ちなみに、FXの日足データを調べたところ、Hurst指数の中心値は0.43〜0.47でした。つまり、FXは恒常的にわずかながら平均回帰(元の価格に戻ろうとする)の性質を持っており、トレンドは後から見て初めて分かるものだ、という再確認にもなりました。

戦略に組み込んでも利益が減るだけ

次に、この指標を「トレンドが出そうな時だけ動くゲート」として戦略に組み込んでみました。 しかし、どの変種を試しても改善は見られません。

指標基準PF適用後のPF適用後の月利
IS(学習期間)0.970.73〜0.95-
OOS(検証期間)1.511.39〜1.52+0.064〜0.265%
OOS(アウト・オブ・サンプル=未知のデータ)での月利は、元々の+0.401%から大幅に減少しました。ドローダウン(資産の山からの下落率)は小さくなっていますが、これはトレード数が大幅に減ったことによる「トレードをしないから負けないだけ」という、以前検証したフィルタ手法と同じ残念な結果です。

通貨ペアを横断してもコストに勝てない

最後に「どの通貨ペアが非ランダムか」を横断的に比較し、そこからトレンドが出るペアを選別する手法も試しました。 「どのペアがランダムから外れているか」は安定して選べましたが、やはり「この先トレンドが出るペア」を当てることはできませんでした。 唯一、逆方向のシグナル(VRが高い=平均回帰しやすいペアで、翌日に反転を狙う)には微かな優位性(エッジ)が見られましたが、スプレッドなどのコストを差し引くと、利益はほぼゼロになります。これは過去の検証でも何度か直面した「優位性はあるが、コストで消える」というFX日次逆張りの壁です。

検証の結論

今回の検証で、時系列(過去の動き)から見ても、横断(通貨ペア間)から見ても、ランダムウォーク性を利用したフィルタリングは「不採用」と判断しました。 これで、ヒューリスティックな手法から形式統計量まで、相場が「機能しやすいか」を測る試みは一通り否という結果が揃いました。残念ながら、未来のテクニカルの機能しやすさを予測するのは、統計学的なアプローチでも困難であると言わざるを得ません。

この検証のつながり

この検証は、過去の次の検証を踏まえています(前回ダメだった→今回こうした、別ロジックとの比較など)。