金に絞ったら話題の手法が本物の優位性に化けた

却下手法 · 1 min

「ボラティリティ(価格変動の激しさ)が大きい銘柄なら、スプレッド(売値と買値の差=実質的な手数料)の影響を抑えられるのではないか」という仮説を検証するため、前回検証した株価指数でコスト負けした手法を、ゴールド(XAUUSD)に当てはめてみました。

図: ブレイクアウトのエントリー例(XAUUSD 日足・実データ)。直近の高値を上抜けたところで買います。

図: ブレイクアウトのエントリー例(XAUUSD 日足・実データ)。直近の高値を上抜けたところで買います。

「ボラティリティ(価格変動の激しさ)が大きい銘柄なら、スプレッド(売値と買値の差=実質的な手数料)の影響を抑えられるのではないか」という仮説を検証するため、前回検証した株価指数でコスト負けした手法を、ゴールド(XAUUSD)に当てはめてみました。 使用したのは2015年から2026年までの11.5年分の1分足データです。コストとしてスプレッド20pipsを差し引き、1トレードあたりのリスクを資金の0.5%に設定しました。

日足ベースの検証で分かった「コストとの相性」

まずは日足で判定する手法(日足プロキシ)の結果です。

設定月利PFDDSharpe
保有1日0.05%1.14--
保有3日0.21%1.59--
保有5日0.24%1.80-5.3%0.98
保有5日+SL2ATR0.13%1.80-2.8%1.07
PF(プロフィットファクター=総利益÷総損失。1を超えると黒字)を見ると、株価指数で検証したとき(PF1.03)よりも明らかに改善しており、ゴールドのボラティリティがコスト負けを防いでいることがわかります。特に「保有5日」の設定では、検証期間を前半と後半に分けても一貫してプラスを維持しており、一時的な偶然ではない本物の優位性(エッジ)と言えそうです。また、損切り設定(SL2ATR)を加えることで、ドローダウン(資産の山からの下落率=登山でいう「どれだけ下りに転じたか」)が大幅に軽減され、非常にクリーンな成績になりました。

「ザラ場の初動」よりも「数日のドリフト」が重要

次に、動画で紹介されていた手法に忠実な「日中足(デイトレード)」の検証を行いました。

  • 日中(当日中に決済):月利 0.08% / PF 1.13
  • 3日間保有:月利 0.23% / PF 1.42 結果を見ると、当日中に手仕舞うデイトレード形式は成績が伸び悩みます。一方で、ポジションを数日間持ち越すと成績が改善しました。このことから、この手法の利益の源泉は「ブレイク直後の値動き」よりも「ブレイク後に数日間続くトレンド(ドリフト)」にあると考えられます。

既存のゴールド手法との比較

現在運用している「ゴールドのブレイクアウト手法」と今回のTJL手法を比較したのがこちらです。

  • 既存手法:月利 0.44% / PF 1.49 / DD -8.9%
  • TJL手法(保有5日):月利 0.24% / PF 1.80 / DD -5.3% 相関係数は+0.53と、同じゴールドのトレンドを狙っているものの、切り口が少し異なる「別断面」の動きをしています。既存手法の方がリターン密度は高いものの、今回の手法はドローダウンを既存の約4分の1に抑えられています。 結論として、この手法は一貫性のある本物の優位性を持っています。しかし、すでに既存のゴールド手法で同系統の利益を確保できているため、あえてこの手法単体に入れ替える必要はありません。今後は、既存のコア戦略に「追加スリーブ(補助的な枠)」として加えることで、リスク分散ができないか検討する余地がありそうです。ただし、すでにポートフォリオ内でゴールドの比重が高いため、金集中リスクとのバランスをどう取るかが今後の課題になります。

この検証のつながり

この検証は、過去の次の検証を踏まえています(前回ダメだった→今回こうした、別ロジックとの比較など)。