個人口座の最大成長ペースを計算して専用EAに分けた

リスク管理 · 1 min

研究149で検証した「終値・固定k(レバレッジ係数)」のロジックを、最新の検証基盤である日中・週末ギャップ込みの環境へ移植しました。

研究149で検証した「終値・固定k(レバレッジ係数)」のロジックを、最新の検証基盤である日中・週末ギャップ込みの環境へ移植しました。あわせて、プロップファーム(証券会社が資金を提供し、利益を分配する仕組み)で効果が証明された「フラットガード(一定の損失で強制停止する機能)」などの防御機構が、個人の運用口座でも有効なのかを検証しました。750営業日のモンテカルロ法(過去のデータからランダムにリターンを再構成し、将来の破綻確率を推定するもの)によるテストでは、PF(プロフィットファクター=総利益÷総損失。1を超えると黒字)は1.64で安定しています。

固定kによる成長とリスクの比較

固定kを変化させた際の運用成績をまとめました。

k(係数)年率(月利)maxDD中央 / 95%P(DD>50%)
k=336.1% (2.60%)20% / 33%0.1%
k=562.7% (4.14%)32% / 50%4.8%
k=8104% (6.14%)47% / 69%39.5%
k=10132% (7.27%)56% / 78%68%
※maxDD中央/95%:資産の山からどれだけ下落したかを示すドローダウンの中央値と、95%の確率で収まる上限値。
※P(DD>50%):資産が半分に減る確率。
成長率はkに比例して伸びますが、k=10まで上げると資産が半分になる確率が68%に達します。これは投資というより、もはやギャンブルに近い状態です。

プロップ用防御機構は個人口座で不要か

プロップファームで有効だった「テール切断(損失が一定額に達したらその日は強制終了するフラットガード)」や「動的k(状況に応じてレバレッジを調整する機能)」を個人口座に適用してみましたが、結果は芳しくありませんでした。 プロップでは「一定の損失で即失格」という崖のようなルールがあるため、防御機構が命綱になります。しかし、崖のない個人口座では、これらは単に利益を削る「回復を放棄するコスト」として働いてしまいます。特に動的kは、固定kと同じリスクをとっても年率20〜27%程度と、固定k=5の半分以下のパフォーマンスに留まりました。やはり境界認識の機能は「失格というルールがあるゲーム」専用の道具のようです。

個人口座における結論とシステム実装

検証の結果、個人口座では複雑な防御機構をすべて外し、シンプルな「固定レバレッジ」で運用するのが最適という結論に至りました。

  • 保守的な運用(k=3): 月利約2.6%、最大ドローダウン予算は約33%。
  • 積極的な運用(k=5): 月利約4.1%、最大ドローダウン予算は約50%。 これら以外の複雑な設定は、個人口座では不必要なリスクや足かせになります。唯一、大きな損失を防ぐための「撤退ライン(初期資金からマイナス35%で停止)」のみを残すのが賢明です。 この方針に基づき、システムを分離しました。Python環境(scripts/systems/personal_system.py)でロジックを管理し、MT5側には専用のEA(mt5/PersonalCoreV1.mq5)を配備しています。既定値は「静的k=3」「フラットガードOFF」「日次停止-15%」「撤退ライン-35%」です。 最後に留意点として、スワップポイントはモデルに含まれていません。レバレッジを高くするほど保有コストの影響が大きくなる点と、証拠金倍率は1:100であればk=10程度まで耐えられる計算であることは頭に入れておく必要があります。

この検証のつながり

この検証は、過去の次の検証を踏まえています(前回ダメだった→今回こうした、別ロジックとの比較など)。

関連コード(再現用)

この検証は以下のスクリプトで再現できます(リポジトリ参照)。

  • scripts/systems/personal_system.py