
利益クッションが貯まるほど攻める設計を数値で確認
「最大ドローダウン(資産の山からどれだけ下落したか)が初期資金の10%に達したら失格」というルールがある場合、元手が増えるほど、実質的に「床」までの距離(クッション)が広がりますよね。

図: ドローダウン=資産が最高値からどれだけ下がったか(例: XAUUSD)。この谷の深さがリスクの実感値です。
「最大ドローダウン(資産の山からどれだけ下落したか)が初期資金の10%に達したら失格」というルールがある場合、元手が増えるほど、実質的に「床」までの距離(クッション)が広がりますよね。 このクッションを活かして、増えた分だけリスクを取る。つまり「増えてからリスクを上げる」という方針を、ファンデッド(資金調達)モデルの750日シミュレーションで検証しました。
クッションを活かすと月利と安全性が両立する
検証の結果、クッションを10%確保してからリスクを上げる設定(k_cap=1.5)が、最も効率的だと分かりました。
| 設定条件 | 月利 | 破綻率 | 総出金(初期比) |
|---|---|---|---|
| クッション10% / k_cap 1.5 | 0.92% | 0.0% | 33.0% |
| クッションなし / k_cap 1.5 | 0.70% | 0.1% | 25.0% |
| クッションなしの場合と比べ、月利は31%向上し、破綻率を0%まで抑えられました。PF(プロフィットファクター=総利益÷総損失。1を超えると黒字)は1.64で、リスク倍率を変えてもこの効率自体は変わりません。 | |||
| ただし、リスク倍率(k_cap)を2.0まで上げると、クッションが10%あっても破綻率が18.9%に跳ね上がりました。これは日次の損失制限(マイナス5%)に抵触するためです。過去データから算出された最悪の日次損失はマイナス3.22%であり、これに1.5倍以上のリスクをかけると制限を超えてしまう計算になります。 |
同時建玉の制限と実装のポイント
もう一つの縛りである「同時建玉による損失を3%以内にする」というルールについては、MT5のガード機能で強制的に制御するのが現実的です。現状のEAのトレード記録では詳細なリスク算出ができないため、実装時にはEA側で損切りライン(SL)を厳密に計装して監視する必要があります。 これらを統合した新しい運用方針は以下の通りです。
- 基本戦略:床(初期資金の90%)を固定し、クッション(10%)を超えた分だけ利益を出金せず保持する。
- リスク管理:クッションの厚みに応じて、リスク倍率を1.5倍まで段階的に引き上げる。
- 注意点:日次損失5%の制限があるため、倍率は1.5倍が安全圏の上限。
実務上の注意点
この方針は理論上非常に強力ですが、運用にあたっては以下の「安全側の考慮」が必要です。 まず、破綻率0%という結果は非常にギリギリのラインです。最悪の日次損失が少しでも拡大すれば破綻する可能性があるため、リスク倍率(k_cap)は1.2〜1.3程度に抑えるのがより現実的です。 また、この検証は「床が固定されている」ことが前提です。もしルールが「利益に応じて床も切り上がる(トレーリング)」タイプであれば、月利は0.33%まで低下し、破綻リスクも4.6%まで上がります。運用前に、使っているプロップファームの床が「初期固定」なのか、必ず公式情報を確認してください。 まずは日中の激しい値動きを含めた損失リスクをしっかり把握した上で、余裕を持った倍率設定から始めるのが賢明です。
この検証のつながり
この検証は、過去の次の検証を踏まえています(前回ダメだった→今回こうした、別ロジックとの比較など)。