失格ラインとの距離でリスクを変えると本当に増える

リスク管理 · 1 min

価格の動きそのものを予測する手法は、前回の研究145でほぼやり尽くした感があります。そこで目を向けたのが「プロップファーム(投資資金を提供してくれる企業)の評価ルール」という境界線です。

図: ドローダウン=資産が最高値からどれだけ下がったか(例: XAUUSD)。この谷の深さがリスクの実感値です。

図: ドローダウン=資産が最高値からどれだけ下がったか(例: XAUUSD)。この谷の深さがリスクの実感値です。

価格の動きそのものを予測する手法は、前回の研究145でほぼやり尽くした感があります。そこで目を向けたのが「プロップファーム(投資資金を提供してくれる企業)の評価ルール」という境界線です。 具体的には、日次の損失制限(-5%)や最大ドローダウン(資産の山からの下落率、-10%)といった「絶対に超えてはいけない壁」までの距離を測り、それに合わせてリスクを調整する「状態依存スケーリング」を検証しました。これは、登山でいう「崖っぷちでは慎重に歩き、安全圏ではペースを上げる」ような制御です。

検証の結果:リスクを「動かす」ことの優位性

母体となるシステムに、現在の資産状況や目標までの距離に応じたリスク乗数を掛ける仕組みを導入し、固定リスクで運用する場合と比較しました。

指標固定リスク(k=1.0)動的リスク(k=1.5)
総出金(初期比)27.1%34.6%
破綻率9.8%5.9%
寿命(750日中)733日
※MC(モンテカルロ合格率=日次リターンを再標本化してプロップ合格確率を推定した値)に基づく比較。
結果を見ると、動的リスク制御(floorDef)を取り入れた場合、固定設定よりも出金総額が約28%増え、かつ破綻リスクを抑えるという「両立」が可能になりました。特に、固定リスクを単に高めただけの設定では破綻率が40.7%まで跳ね上がるのに対し、この動的制御では破綻を1/7にまで抑えつつ、同等の出金水準を維持できています。
つまり、どのタイミングでアクセルを踏み、どのタイミングでブレーキをかけるかという「経路の最適化」こそが、現在のシステムにとって最も効果的な上積み策であると定量的に確認できました。

注意点と今後の実装

ただし、検証を進める中でいくつかの修正すべき点も見えてきました。 ・破綻率の計算において、日次-5%の終了判定に一部計上漏れがありました(推奨設定のk=1.5以下では大きな影響はありません)。 ・「破綻0%」といった極端な数値は、特定の条件下でのみ発生する非常に不安定なものです。 ・出金増の要因には、単純なレバレッジの引き上げ(k=1.0→1.5)も含まれています。構造的な改善であることは間違いありませんが、過大評価は禁物です。 この検証結果を踏まえ、次はMT5のEA(CoreSystemV14)にこの動的リスク制御を組み込みます。具体的には、初期資金から-10%の床(境界)にどれだけ近いかによって、自動でリスク倍率を変化させる設定です。日次の損失制限に近づいた際のデリスク(リスクを減らす行為)と統合することで、プロップファームの厳しいルールをより安全にクリアすることを目指します。

この検証のつながり

この検証は、過去の次の検証を踏まえています(前回ダメだった→今回こうした、別ロジックとの比較など)。