
情報の伝わり方でトレンドを選別する案も否だった
「価格の動きの中に、まだ誰も見つけていないトレンドの法則があるのではないか」という視点で、今回は「情報離散性モメンタム」という理論を検証しました。
「価格の動きの中に、まだ誰も見つけていないトレンドの法則があるのではないか」という視点で、今回は「情報離散性モメンタム」という理論を検証しました。 これは、株などの世界で知られる「frog-in-the-pan(鍋の中の蛙)」という考え方を応用したものです。簡単に言うと、「一度に大きな値動き(離散)をするトレンドよりも、小さな値動きがコツコツと連続して同じ方向に積み重なるトレンド(連続性)の方が、その後も継続しやすい」という仮説です。 値幅という「大きさ」ではなく、値動きの「形」に注目する点が、既存のトレンドフォローとは異なる新しいアプローチでした。
検証の設計
この理論がFXや金属、株価指数の世界でも通用するかを確認するため、以下の条件でテストを行いました。
- 対象:D1(日足)ベースの主要20銘柄
- 検証期間:IS(期間内検証)2015〜2021年、OOS(期間外検証)2021〜2025年
- 手法:過去の一定期間(60/120/240日)の動きを、「連続的な動き」と「飛び跳ねるような動き」に分類し、連続性の高いものだけを抽出してエントリーする
検証結果:残念ながら機能せず
結論から言うと、この「連続性」という新しい軸は、今回の検証では優位性(エッジ)を生み出しませんでした。結果は以下の通りです。
- そもそも検証した20銘柄において、単純な方向モメンタム(トレンドフォロー)自体が機能しておらず、全期間でシャープレシオ(リスクに対するリターンの効率を示す指標)がマイナスでした。
- 「連続性」でフィルタリングをかけても、元のトレンドフォローの成績を上回ることは一度もありませんでした。
- 最も良かった条件でも、OOS(期間外検証)におけるリターンはマイナス3.0%、最大ドローダウン(資産の山からの下落率)は9.95%、MC(モンテカルロ合格率=プロップファクター合格確率)は7.9%という結果でした。
なぜうまくいかなかったのか
この理論がうまくいかなかった理由は、もともとの「土台」にあります。 「frog-in-the-pan」は、もともと株の個別銘柄を対象とした理論です。しかし、今回の検証対象であるFXや指数は、そもそも「方向性」自体がランダムに近い動きをしています。いくら「連続性がある動き」だけを抽出したとしても、その方向自体に予測の根拠がなければ、結局は予測不能なものを濾過しているだけに過ぎませんでした。 「中身のないものに、いくら新しいフィルタを重ねても中身は変わらない」という、過去の検証でも確認された法則がここでも当てはまった形です。
今後の方向性
今回の検証で、価格の動きそのものから新しい「方向予測の軸」を見つけるのは、ほぼ枯渇していると感じました。 今後は、価格の動きを予測する方向ではなく、Geminiの分析にもあった「プロップ境界を意識した動的リスク・スケーリング」へシフトすべきかもしれません。これは、予測の精度を上げるのではなく、資金管理やリスクの取り方を工夫することで、いかに生き残るかというアプローチです。 残っているアイデアとして「Garman-Klass経路効率」や「日内ボラティリティの標準化」がありますが、これらも単体で方向を当てるものではなく、既存のトレンドロジックに重ねる(オーバーレイ)形での検証が必要になりそうです。
この検証のつながり
この検証は、過去の次の検証を踏まえています(前回ダメだった→今回こうした、別ロジックとの比較など)。