『いつ入るか』の全アイデアが枯れていると確認した

却下手法 · 1 min

これまでの研究で、価格の「形」に基づいたテクニカル指標の検証を一通り終えましたが、どれも決定打には至りませんでした。そこで今回は視点を変え、「何を」取引するかではなく「いつ・誰が」取引するかという、時間や市場の構造に焦点を当てた5つの仮説を検証しました。

これまでの研究で、価格の「形」に基づいたテクニカル指標の検証を一通り終えましたが、どれも決定打には至りませんでした。そこで今回は視点を変え、「何を」取引するかではなく「いつ・誰が」取引するかという、時間や市場の構造に焦点を当てた5つの仮説を検証しました。 結論から言うと、今回もすべて「不採用」という結果です。検証結果をまとめました。

検証項目内容結果
東京MR東京時間のレンジ相場で逆張り否 (PF0.995以下)
指数ToM月初めの株価指数アノマリー否 (既存戦略と重複)
コインテグ2資産の相関を利用した裁定取引否 (OOSで全崩壊)
指数ORB指数の寄り付きブレイク狙い検証不能
WMR FixロンドンFixの定時フロー狙い否 (コスト負け)

各検証の振り返り

東京セッション限定の逆張り(研究140) ロンドンやNYの強いトレンドに巻き込まれない東京時間なら、逆張り(MR: Mean Reversionの略。平均回帰を狙う手法)が機能するのではと考えました。しかし、流動性が低い時間帯でも突発的なトレンドは発生し、そこに売買コストが重なると、勝率は5割を超えても収支はマイナスという結果に。やはり逆張りは厳しいようです。 指数のターン・オブ・マンス(研究141) 「月初は株が上がりやすい」というアノマリーです。米国指数(US500など)では確かに実在しましたが、既存のカレンダースリーブ(特定の日付に特化した戦略)と重複するうえ、株の保有リスクを丸ごと背負う割にリターンは限定的でした。 コインテグレーション(研究142) 連動性の高い2つの資産間で、価格差(スプレッド)が広がった時に戻りを狙う手法です。いわゆる裁定取引ですね。確かにドローダウン(資産の山からの下落率)は抑えられましたが、検証期間外のデータ(OOS: アウト・オブ・サンプル。未知のデータ)を当てはめると、期待していた利益は跡形もなく消え去りました。一時的な歪みに過ぎなかったようです。 指数寄り付きORB(研究143) 米国の市場開始直後の動きを狙う手法ですが、現在利用しているデータには指数の日中足が含まれておらず、計算ができませんでした。こちらは将来のデータ拡充待ちとなります。 WMRロンドンFixフロー(研究144) ロンドン時間の16時に行われる大規模なリバランス(資産配分の調整)を狙う手法です。一時的な動きはあっても、スプレッド拡大などのコストを考慮すると利益が残りません。楽観的なシミュレーションですら負けているため、実運用ではさらに厳しいでしょう。

今後の方向性

今回の検証で、時間構造やセッション、相対価値といった切り口でも、このデータセットでは頑健な優位性(エッジ)を見つけるのが難しいと再確認できました。 価格と時計データだけで構築できる手法は、これでほぼ網羅し尽くした感があります。今後は、既存の「月初窓の微修正」や「リスク・スケーリング(ボラティリティに応じたロット調整)」といった、既存手法のブラッシュアップに注力していきます。 なお、ニュースやセンチメントといった価格外データの活用については、私の方針として「相場はすべてを織り込む」という考えに基づき、採用しないことに決めました。この先も、あくまで価格データの中にある「まだ見ぬ未探索領域」を掘り下げていく方針です。

この検証のつながり

この検証は、過去の次の検証を踏まえています(前回ダメだった→今回こうした、別ロジックとの比較など)。

関連コード(再現用)

この検証は以下のスクリプトで再現できます(リポジトリ参照)。

  • scripts/research/sessutil.py