夜間ドリフトは本物なのにコストで取れない

却下手法 · 1 min

株価指数には、面白い性質があるんです。「夜間の値動きにリターンの大部分が詰まっている」という、いわゆるオーバーナイト・ドリフトと呼ばれる現象です。

株価指数には、面白い性質があるんです。「夜間の値動きにリターンの大部分が詰まっている」という、いわゆるオーバーナイト・ドリフトと呼ばれる現象です。 これは学術的にも認められているアノマリー(市場の歪み)で、前日の終値から当日の始値にかけての動きが、日中の値動きよりも圧倒的に強いというもの。今回は、この性質を活かした「夜間だけロング(買い)で入る」という戦略を検証してみました。

実在する夜間の優位性

実際にデータを分解して検証したところ、この現象は確かに本物でした。US500(S&P500)のデータで見ると、年間のリターンは夜間がプラス6.8%であるのに対し、日中はわずかプラス0.4%です。他の指数でも同様で、US100(ナスダック100)は夜間だけでプラス10.1%、US30(ダウ)もプラス4.7%という結果でした。 既存のトレンドフォロー戦略や平均回帰戦略との相関を調べてみても、コア戦略との相関は0.02、Connors(短期的な価格の歪みを狙う手法)との相関も0.20と非常に低く、これまでの手法とは全く別物として機能することが分かりました。

毎日往復のコストで利益が吹き飛ぶ

これだけ見ると夢のような手法ですが、現実は甘くありません。この戦略は毎日必ず1回売買を行うため、コストの影響を非常に強く受けます。

取引コスト(往復)年間リターンシャープ・レシオ
0bp(コストなし)+7.2%1.25
1bp+4.7%-
2bp+2.2%0.37
3bp-0.4%-
※bp(ベーシスポイント)は、1bp=0.01%のコスト。
指数CFDで取引する場合、始値や終値といったスプレッドが広がりやすい時間帯に毎日注文を出すことになります。現実的なコストは往復で2〜4bpほどかかりますので、そうなると利益は年率2%以下、あるいはマイナスになってしまう計算です。

プロップファームの安定スリーブには不適

検証した結果、このアノマリーは確かに実在し、他の手法と混ざらない貴重な性質を持っています。しかし、以下の理由からプロップファーム(資金提供を受けて運用する仕組み)の安定した資産運用枠としては不採用としました。 ・毎日取引を行うため、コスト(スプレッドや手数料)で利益がほとんど消えてしまう。 ・始値や終値での執行はスリッページ(注文価格と約定価格のズレ)も発生しやすく、運用が複雑になる。 学術的にも「夜間のプレミアムはコストを差し引くと残りにくい」という定説がありますが、今回の検証でそれを身をもって確認した形です。低頻度でコストに強いConnorsのような手法とは対照的に、高頻度でコストに食いつぶされるタイプでした。今回の検証結果を受け、メインの運用はこれまで通りv1.5.0の構成を据え置きます。

この検証のつながり

この検証は、過去の次の検証を踏まえています(前回ダメだった→今回こうした、別ロジックとの比較など)。