ナンピンは危険?EAが暴く「損失増幅」の真実

平均回帰 · 1 min

ナンピン=ピラミッディング(研究53)の逆。含み損 add_atr*ATR ごとに買い増し(平均単価↓)。核(robust5 FX/H1/HTF, sl_atr6)で max_adds=0/1/2/3 比較。

本記事は「ナンピンは危険?EAが暴く「損失増幅」の真実」の検証を、はじめての方にも分かるようにまとめたものです。

図: 逆張り(RSI)のシグナル例(EURUSD 日足・実データ)。RSIが売られすぎ圏に入った反発を狙います。

図: 逆張り(RSI)のシグナル例(EURUSD 日足・実データ)。RSIが売られすぎ圏に入った反発を狙います。

研究125 ナンピン(含み損買い増し)で損失軽減できるか — ★No(損失を隠して増幅) FX自動売買(EA)の世界には、色々なトレード戦略がありますよね。今回は、その中でも特に初心者の方が「もしかしたら損失を減らせるかも?」と期待しがちな「ナンピン」について、私たちのEAが実際にどういう結果を出したのか、詳しく見ていきましょう!

ナンピンってどんなアイデア?

「ナンピン」というのは、簡単に言うと、持っているポジションが含み損(まだ確定していない損失)になっているときに、さらに同じ方向のポジションを追加して、平均購入価格を下げる戦略のことなんです。 例えば、1ドル150円でドルを買ったとして、その後149円に下がって含み損になったとしますよね。そこでさらにドルを買い増すと、平均購入価格が149.5円くらいに下がるので、「ちょっと戻れば利益になる」という状態を作れるわけです。 これは以前検証した「ピラミッティング」(利益が出ている時にさらに買い増す手法)とは逆で、含み損の時に買い増すことから「逆ピラミッティング」とも呼ばれます。 今回の検証では、このナンピンを「含み損が一定の幅(ATRという、相場の平均的な値動きを示す指標)で増えるたびに、ポジションを追加していく」という形で試してみました。

どうやって検証したの?

私たちは、普段から安定した成績を出しているベースのEA(ここでは「robust5」という名前の、FXの1時間足で動くEA)を使って、ナンピンの効果を検証しました。このEAは、もちろん損切り(これ以上損失を出さないように自動で決済する機能)もきちんと設定されています。 この安定EAに、ナンピンの機能を組み込んで、ナンピンする回数を「0回(ナンピンなし)」「1回」「2回」「3回」と増やしていき、それぞれのパターンで過去の相場でどれくらいの成績が出たのか、比較してみたんです。

検証結果はどうだった?

結論から言うと、ナンピンする回数を増やせば増やすほど、成績が悪くなる一方だったんです!

成績が悪化!

具体的な数字を見てみましょう。

  • PF(プロフィットファクター)
  • これは「総利益 ÷ 総損失」で計算され、1を超えると黒字、高いほど優秀なEAとされます。
  • ナンピンなしの場合:1.22
  • ナンピンありの場合(最大3回):1.11に低下
  • PFが下がってしまい、EAの効率が悪くなったことがわかります。
  • 総リターン(トータルの利益率)
  • ナンピンなしの場合:+41%
  • ナンピンありの場合(最大3回):+28%に減少
  • トータルの利益も大きく減ってしまいました。

ドローダウンが倍増!

そして、最も衝撃的だったのが、最大ドローダウン(DD)の変化です。

  • 最大DD(ドローダウン)
  • これは口座資金が一時的にどれくらい減ったかを示すもので、登山でいう「どれだけ下りに転じたか」のようなものです。この数値が小さいほど、リスク管理ができているEAと言えます。
  • ナンピンなしの場合:-13.2%
  • ナンピンありの場合(最大3回):-26.9%と、ほぼ倍増!
  • これはつまり、相場が予想と反対に動いたときに、資金が半分近くまで減ってしまうリスクが大幅に増えた、ということなんです。かなりヒヤッとしますよね。

プロップファームのルールでは即失格レベル

最近、プロップファーム(投資家から資金を預かり、トレーダーに運用させる会社)の審査に挑戦する方が増えています。私たちの検証も、そういったプロップファームの厳しいルールを意識して行っています。 プロップファームの中には、「1日の損失が5%を超えると失格」というルールを設けているところが多いんです。

  • ナンピンなしの場合:1日だけこの「日次-5%抵触」に引っかかりました。
  • ナンピンありの場合(最大3回):2〜3日も抵触してしまったんです。 これでは、プロップファームの審査では即失格になってしまいます。最大ドローダウンが27%近くまで増えるのも、プロップファームの「最大損失〇〇%まで」というルールに簡単に引っかかってしまい、資金を失格になるリスクが非常に高いと言えます。

ここから見えてきたこと(結論)

今回の検証で、はっきりと分かったのは、ナンピンは決して損失を減らす戦略ではないということです。むしろ、損失を隠して、いざという時に爆発的に増幅させてしまう危険な戦略だということが改めて浮き彫りになりました。 ナンピンをすると、一時的に「小さな損失を出す回数が減る(見かけ上の勝率が上がる)」ように見えることがあります。しかし、その代償として、相場が予想と反対方向に動き続けた場合、損失が手のつけられないほど巨大化するリスクを抱え込むことになるんです。これは、まさに「マーチンゲール」という危険な手法と同じ罠にはまることになります。 例えるなら、小さな石につまずくのを避けようとして、大きな落とし穴に落ちてしまうようなもの。小さな損切りで終わらせられるはずだった損失が、めったにないけれど一度起きると致命的な大損に変わってしまうんですね。 安定して利益を出すEAの基本戦略は、「損は小さく早く、利益は大きく伸ばす」というものです。ナンピンは、この考え方とは真逆をいく手法と言えます。 私たちがEAを選ぶ際の基準(例えばFintokeiというプロップファームのルールに合わせているんですが)でも、ナンピンやマーチンゲール、グリッドトレードといった手法は使わないことが必須なんです。 結論として、ナンピンは、プロップファームの審査を通過することも、安定して資産を増やしていくEAの戦略としても、採用できません! 以前検証した「ピラミッティング(利益が出ている時にさらに買い増す手法)」もプロップファームには不向きという結論でしたが、今回のナンピン(含み損時に買い増す)も同様に、資金を増やすためのポジション追加は、順張りでも逆張りでもプロップファームのルールには合わない、ということが改めてわかりましたね。 皆さんもEAを選ぶ際には、ナンピンのような手法が使われていないか、ぜひチェックしてみてください!

この検証のつながり

この検証は、過去の次の検証を踏まえています(前回ダメだった→今回こうした、別ロジックとの比較など)。