強いラインは勝率UP?EAの常識を覆す検証結果

平均回帰 · 1 min

ユーザー仮説: 「数値が高いラインが多い=明確な構造の相場ほど勝率が高い→そこでリスクを上げる(ハイリスク・ハイリターン)」。戦略化前に診断: トレードごとにエントリー時のレベル強度(sup_score/res_score/struct=levels.py, asof=後知恵なし)を測り強度4分位別

本記事は「強いラインは勝率UP?EAの常識を覆す検証結果」の検証を、はじめての方にも分かるようにまとめたものです。

図: ブレイクアウトのエントリー例(XAUUSD 日足・実データ)。直近の高値を上抜けたところで買います。

図: ブレイクアウトのエントリー例(XAUUSD 日足・実データ)。直近の高値を上抜けたところで買います。

今回は、EAのトレードで「サポートやレジスタンスのラインが強いほど、勝率も高くなるんじゃないか?」という仮説を検証してみました。もしそうなら、そういう場面では積極的にリスクを取って利益を狙う(例えば、ロット数を増やす)のが効果的じゃないか、というアイデアですね。

どんなアイデア?

FXチャートには、価格の反転ポイントになりやすい「サポートライン」や「レジスタンスライン」がありますよね。これらのラインが「どれくらい強力か」を数値化したものを、ここでは「レベル強度」と呼んでいます。 私たちのEAは、このレベル強度を常に分析しながらトレードしているのですが、もし、このレベル強度が高い、つまり強力なラインがたくさんある相場ほど、EAの勝率も高くなるなら、そういう場面では積極的にリスクを取って利益を狙うのが効果的じゃないか?という仮説を立ててみたんです。 例えるなら、登山で「この山は岩場が多いから、しっかりした装備で行けば良い景色が見られるはず!」と、準備を万全にして臨むようなイメージですね。

どうやって試した?

この仮説を検証するために、過去のEAのトレード記録を詳しく分析しました。具体的には、それぞれのトレードがエントリーした瞬間の「レベル強度」を計測し、その強度によってトレードを4つのグループ(Q1〜Q4)に分けました。Q1が一番強度が低いグループで、Q4が一番高いグループです。 そして、それぞれのグループで「勝率」や「PF(プロフィットファクター=総利益÷総損失。1を超えると黒字)」、「平均R(平均リスクリワード比=1トレードあたりの平均利益額を平均損失額で割ったもの。大きいほど良い)」といった成績を比較してみたんです。 もちろん、分析は「後知恵なし」で行いました。これは、トレードが終わった後の情報を使って有利なように分析するのではなく、あくまでエントリーした時点のデータだけで判断した、ということです。公平な結果を見るためには大切なポイントですね。

結果はどうだった?

今回は、2種類の異なるEAで検証してみました。

1. ブレイクアウトを狙うEAの場合

まずは、価格が特定のラインを突き破って進む「ブレイクアウト」を狙うタイプのEAで試してみました。約1900回のトレードを分析した結果、なんと「レベル強度」と「勝率」の間には、はっきりとした関係が見られなかったんです! つまり、「強度が上がるほど勝率も上がる」とか「強度が下がるほど勝率も下がる」といった、きれいな一直線の関係はなかった、ということですね。相関係数もほとんどゼロで、レベル強度と勝率はほぼ無関係という結果でした。 例えば、レジスタンスラインの強度が低い方から高い方へ見ていくと、勝率が33%→38%→37%→35%と、一度上がってからまた下がる「U字型」のような動きを見せました。サポートラインの強度では、むしろ強度が弱いグループの方がPFが高くなる傾向も見られたんです。これは、強いラインをブレイクするよりも、弱いラインを抜けた方が価格がスムーズに走りやすい、ということを示唆しているのかもしれませんね。 以前の研究でも「ブレイクアウト戦略では、レベルの強度はあまり関係ない」という結論が出ていたのですが、今回もその結果を裏付ける形になりました。

2. 押し目買いを狙うEAの場合

次に、サポートラインでの反発を狙う「押し目買い」のEAで試してみました。このEAは、まさに「レベルの強度が勝敗に直結するのでは?」という仮説が最も活きそうなタイプです。 結果は、ブレイクアウトEAと同様に、「強度が上がるほどきれいに勝率も上がる」というような単調な関係は見られませんでした。 ところが、面白い傾向が見つかったんです!一番強度が弱いグループ(Q1)はPFが0.72と明らかに悪く、トレードがうまくいきません。逆に、一番強度が強いグループ(Q4)もPFが1.24と、そこそこの数字ではあるものの、実は「中程度の強度」のグループ(Q2)がPF1.59、勝率38%と、一番良い成績を出していたんです! これはまるで、山登りでいう「急すぎる坂道は登りにくいし、平坦すぎる道もつまらない。ほどよい傾斜が一番歩きやすい」みたいな感じですね。つまり、「弱すぎてもダメ、強すぎてもダメ。ほどほどが一番良い」という「逆U字型」の関係が見られた、ということなんですね。

ここから学んだこと

今回の検証で、レベル強度について大切なことがわかりました。 それは、「レベル強度」は「そのラインが本物かどうかを見極めるための最低限の基準(足切り)」としては非常に有効だ、ということです。例えば、あまりにも弱いラインではトレードしない、といった使い方は有効なんですね。 これは、以前の研究で「min_level_score(最低レベル強度スコア)が20以上のラインだけを対象にすると成績が良くなった」という結果が出たことと一致します。つまり、この「20」という数値は、「これ以下の弱いラインは無視しよう」という「足切り」の役割を果たしていた、ということなんです。 しかし、「強度が強ければ強いほど、利益も比例して増える」というような「連続的な信号」としては機能しない、ということも判明しました。特に押し目買いEAでは、強すぎるラインよりも「中程度」のラインの方が成績が良かったですよね。 この結果から、「レベル強度が高い相場ほどロット数を増やす」というような「強度に連動してリスクを調整する」戦略は、むしろ逆効果になる可能性が高いと判断しました。なぜなら、一番良い成績を出していた「中程度の強度」のトレードを軽視し、成績が劣化する可能性のある「強すぎる強度」のトレードにたくさん資金を投入してしまうことになるからです。 つまり、今回の仮説「強いラインほどリスクを上げる」は採用しない、という結論になりました。しかし、レベル強度が「足切り」として重要であることは再確認できましたね。現在のEAには、すでにこの「足切り」の考え方が組み込まれているので、今回の検証でEAのシステム自体に変更はありません。 ユーザーさんの仮説は非常に良い視点でしたが、すでに現在のEAロジックに「弱すぎるレベルは除外する」という形で取り込まれていた、ということなんです。検証って奥深いですね!

この検証のつながり

この検証は、過去の次の検証を踏まえています(前回ダメだった→今回こうした、別ロジックとの比較など)。