
口座全体のボラ調整は頑健でなく見送りに
集約vol-target(全スリーブを合算した資産のボラティリティでロットを動かす方式)を、最新のv1.4.0環境で再検証しました。
集約vol-target(全スリーブを合算した資産のボラティリティでロットを動かす方式)を、最新のv1.4.0環境で再検証しました。 かつて研究88でこの手法を検討した際は、運用が複雑になるという理由で見送りました。しかし、現在は単一のMT5 EAで運用する方式が確定しているため、口座の資産情報(equity)を直接参照でき、追加コストなしで実装可能です。前提が変わった今、株式フィルタを追加したv1.4.0という最新の土俵で改めて評価を行いました。
比較結果:集約型 vs 分散型(現行v1.4.0)
| 項目 | 分散型(現行) | 集約型(L2) |
|---|---|---|
| 月利 | 1.59% | 1.68% |
| DD10%月 | 10% | 10% |
| M1最悪 | 1.43% | 1.43% |
| MC合格率 | 94% | 94% |
| ※MC(モンテカルロ合格率:日次リターンを再標本化してプロップ合格確率を推定した値) | ||
| 全期間の数値だけを見ると、集約型の方が月利で6%ほど上回る結果となりました。しかし、以前の研究で期待された「+14%の上乗せ」には遠く及びません。これは、v1.4.0に組み込んだ株式フィルタがすでに各スリーブを横断してリスクオフのタイミングを捉えており、集約型によるロット調整の余地がすでに食いつぶされているためだと考えられます。 |
検証で明らかになった2つの懸念点
今回の検証では、数値以上にシステムの「質」の部分で2つの問題が浮き彫りになりました。
- レバレッジ設定が収束しない 集約型では「レバレッジが資産を参照し、その資産がレバレッジで変わる」という自己参照ループが発生します。計算を繰り返すたびに月利が1.61%→1.68%→1.50%と大きく振動してしまい、どの設定値を採用すべきか定まりません。一方、各ストリームが自身のボラティリティを管理する分散型は、構造的に安定しています。
- 直近の相場環境(レジーム)との不適合 期間を分けて分析すると、2015〜2020年の弱気相場では集約型が優位でした。しかし、現在の相場環境に近い2021〜2026年の強気相場では、分散型の方が高いパフォーマンスを示しています。全期間で見ると集約型が良く見えたのは、過去の特定の期間に引きずられていたからに過ぎません。
結論
今回の検証を経て、現行の分散vol-target(v1.4.0)が、頑健性(相場変化への強さ)の面でも正しいという結論に至りました。 「単一EAなら無料で利益を上乗せできる」という仮説は、現在のシステム構成では期待したほどの効果を発揮しませんでした。過去の不採用判断は、単なる運用の複雑さだけでなく、こうした頑健性の欠如という点においても正解だったと言えます。今回の検証で、見かけ上の数値に惑わされず、構造的な弱点を見抜く多段ゲート(収束検証と期間分割検証)の重要性を改めて確認できました。 結論として、システム構成の変更は行いません。
この検証のつながり
この検証は、過去の次の検証を踏まえています(前回ダメだった→今回こうした、別ロジックとの比較など)。