
暴落で稼ぐ!夢のEAがまさかの「壊滅」
仮説: 指数は持続的下降トレンドを持つので、指数ショート・トレンドフォローは暴落で稼ぐ負相関ヘッジになりうる(FX円安全資産=研究104失敗とは別)。
本記事は「暴落で稼ぐ!夢のEAがまさかの「壊滅」」の検証を、はじめての方にも分かるようにまとめたものです。
今回は、株価指数が大きく下がった時に利益を狙う「指数ショート」のEAについて検証してみました。
どんなアイデア?
株価指数(例えば、日経平均やダウ平均のような、たくさんの会社の株価をまとめた指標のことですね)って、時々大きくドーンと下がる時期がありますよね。記憶に新しいところだと、2018年末や2020年のコロナショック、2022年などもそうでした。 私たちは、この「下がるトレンド」に乗って、ショート(売り)で利益を出せないか?と考えたんです。もしこれがうまくいくと、普段使っているEA(自動売買システム)とは逆の動きで利益を出してくれるので、相場が荒れた時にポートフォリオ(資産全体の組み合わせ)を守ってくれる「お守り」みたいになるんじゃないか、という仮説を立てました。以前、FXの円買いで同じようなヘッジ(リスク回避)を試してうまくいかなかった研究(研究104)とは、また別の視点からのアプローチなんですよ。
どうやって試した?
過去の相場データを使って、指数が下がるトレンドを追いかける「ショート・トレンドフォロー」のEAを動かしてみました。これは、過去のデータで「もしこのEAが動いていたらどうなっていたか?」をシミュレーションする「バックテスト」という方法で、どんな時にエントリー(新規注文)して、どんな時に決済するのか、そのルールを検証したんです。
結果はどうだった?
結論から言うと…残念ながら「壊滅的」でした! 全期間を通して、なんと**-29.6%もの損失を計上してしまいました。PF(プロフィットファクター = 総利益 ÷ 総損失)は0.13**。これは「1」を超えないと利益が出ていないことを意味するので、大幅な赤字だったということですね。 「暴落で稼ぐ」はずが、肝心の暴落した年(2022年や2020年)でも全然ダメだったんです。
- 2022年: +0.1%(しかも2回しかトレードしなかった)
- 2020年: -1.2%
なぜうまくいかなかったのか?
この結果から見えてきたのは、ショート戦略の難しさでした。
- V字回復の壁: 株価指数の暴落って、実は「V字」で一気に戻ることが多いんです。例えば、谷底まで一気に落ちて、そこからまた一気に駆け上がっていくようなイメージですね。ショートでトレンドを追いかけようとすると、下がり始めた時に出遅れてしまったり、戻る時に「踏み上げ」られてしまう(損失が拡大する)パターンが多かったようです。
- 上昇ドリフトの圧力: 長い目で見ると、株価指数はジワジワと上がっていく傾向があります。これを「上昇ドリフト」と呼びます。例えば、登山でずっと緩やかな上り坂が続くようなもの。この地味な上昇が、ショートの利益を少しずつ削り取ってしまったんですね。 既存の主力EAとの相関は-0.11で、確かに逆の動きは少ししていましたが、「大負け」してしまっては意味がありません。過去の研究(研究㉕)でも「違う場所で負けるだけ」という結論になったことがありましたが、まさにその通りでした。
ここから学んだこと
今回の検証で、改めて痛感したのは、**「ショート(売り)戦略は本当に難しい!」ということです。FXでも株価指数でも、売りで利益を出すのは、まるで常に逆風の中を進むようなもの。結局、足を引っ張る「ドラッグ」(マイナスの要因)になってしまうことが多いんですね。 私たちEA開発チームは、「価格が上がるトレンドに乗って買い(ロング)で利益を狙う」**という戦略こそが、最も確実で優位性のある方法(これを「頑健優位性(エッジ)」と呼んでいます)だと考えています。 今回の結果を受けて、既存のEAシステムを変更する必要はない、という結論に至りました。今後も、皆さんに安心して使っていただけるEAを目指して、地道な検証を続けていきますね!
この検証のつながり
この検証は、過去の次の検証を踏まえています(前回ダメだった→今回こうした、別ロジックとの比較など)。