EAの盲点?スワップコストが利益を蝕むか

リスク管理 · 1 min

平均保有6.8日でスワップが効く。トレードのnotional×保有日数×資産別日次スワップ率で試算。資産別notional-日: 円クロス4213(最大)/指数1082/金895/非円FX229。

本記事は「EAの盲点?スワップコストが利益を蝕むか」の検証を、はじめての方にも分かるようにまとめたものです。

今回の検証では、私たちが開発しているEAが実際に運用された際、「スワップポイント」がどれくらい成績に影響するのかを詳しく調べてみました。

どんなアイデア?

EAは、一度ポジションを持ったらすぐに決済するタイプもあれば、数日〜数週間、時にはそれ以上長く持ち続けるタイプもありますよね。今回検証したEAは、平均すると約6.8日間、ポジションを持ち続けることが分かりました。 この「ポジションの保有期間」がポイントなんです。なぜなら、FXではポジションを持ち越すと「スワップポイント」という金利のようなものが毎日発生するからです。

  • スワップポイントとは?
  • 金利の高い国の通貨を買って、金利の低い国の通貨を売る(買いポジション)と、その金利差に応じて毎日お金がもらえる(プラススワップ)。
  • 逆に、金利の低い国の通貨を買って、金利の高い国の通貨を売る(売りポジション)と、毎日お金を支払う(マイナススワップ)。 まるで、金利の高い銀行にお金を預けて利息をもらうか、金利の高いローンを組んで利息を払うか、といったイメージですね。このスワップポイントが、私達のEAの最終的な利益にどう影響するのか、しっかり見極める必要があるわけです。

どうやって試した?

スワップポイントの影響を試算するために、まず「どの通貨ペアや商品を、どれくらいの期間、どれくらいの規模(名目上の取引額=notional)で保有していたか」を洗い出しました。 具体的には、

  • 円クロス(円と他の通貨のペア、例: USD/JPY, EUR/JPYなど): 最大で合計4213日分の「名目上の取引額×保有日数」
  • 株価指数(例: S&P500, 日経225など): 合計1082日分
  • 金: 合計895日分
  • 非円FX(円を含まない通貨ペア、例: EUR/USDなど): 合計229日分 といった形で、それぞれの資産クラスごとにどれだけスワップの影響を受ける可能性があるかを計算したんです。そして、それぞれの資産の「日次スワップ率(1日あたりの金利差)」を掛け合わせて、トータルのスワップ損益を算出しました。

結果はどうだった?

今回の検証の結果、私達のEAにとってスワップポイントは、**「概ね中立〜追い風」**になることが分かりました!これは嬉しい発見ですね。 もう少し詳しく見ていきましょう。

シナリオ別スワップ影響

私達は、現在の金利状況と、将来的に起こりうる金利状況の3つのシナリオでスワップの影響を試算してみました。

  1. 有利なシナリオ(現在の金利状況):
  • 今のところ、米ドルなどの金利が高く、円の金利が低い状態が続いていますよね。この「ドル高円安金利」のような状況では、EAは月あたり約+0.18%のプラススワップを受け取れる見込みです。これはEAの利益を後押ししてくれる、まさに「追い風」と言えます。
  • 特に、円と他の通貨のペア(円クロス)で買いポジションを持つことが多いので、ここで得られるプラスのスワップ益が、株価指数や金などのポジションで発生する金融費用(マイナススワップ)を相殺してくれる効果があるんです。
  1. 中立的なシナリオ:
  • 金利差があまりない、あるいはプラスとマイナスが打ち消し合うような状況では、**月あたり約-0.04%**と、ほとんど影響がない「中立」という結果になりました。
  1. 不利なシナリオ(円キャリー反転時):
  • もし将来的に、日本の金利が急に上がって、円を売る(他の通貨を買う)メリットが薄れる、いわゆる「円キャリー取引の巻き戻し(円キャリー反転)」が起こった場合、EAは月あたり約-0.30%のマイナススワップを支払うことになる可能性があります。これは注意が必要なポイントですね。
  • この「円キャリー反転」の兆候が見られた場合は、スワップによる損失が拡大しないか、注意深く監視していく必要があると考えています。

本番運用でかかるトータルコスト

前回の検証(研究106)で確認した「スプレッド(売値と買値の差額)」や「スリッページ(注文価格と約定価格のズレ)」によるコストと、今回のスワップコストを合わせると、本番運用ではどれくらいの費用がかかるのでしょうか?

  • スプレッド/スリッページ: 月あたり約-0.04%のコストと、一時的な最大損失(ドローダウン=DD)が1.5〜2%程度増加する可能性があります。
  • スワップポイント: 上記の通り、中立〜月あたり+0.18%のプラスが見込まれます。 これらを総合すると、実際にEAを動かした時にかかる実質的なコストは、月あたり0.7〜0.8%くらいになる想定です。そして、一時的な最大損失(ドローダウン)は、最大で10%程度になるだろう、という見込みが立ちました。ドローダウンは、登山で例えるなら「どれだけ下りに転じたか」のようなものですね。

ここから学んだこと

今回の検証で、私達のEAはスワップポイントに関して、現在の市場環境ではプラスに働く可能性が高いことが分かりました。これはEAの利益を底上げしてくれる要素になり得ます。 ただし、将来的に金利情勢が大きく変化し、特に日本の金利が上昇するような「円キャリー反転」の局面では、スワップがマイナスに転じるリスクも確認できました。この点は、今後も市場の動向をしっかり見極めながら、EAの運用を調整していく必要があると考えています。 全体として、スワップポイントはEAの成績に良い影響を与えることが多いものの、常にその動向に目を光らせておくことが大切だ、という学びになりましたね!

この検証のつながり

この検証は、過去の次の検証を踏まえています(前回ダメだった→今回こうした、別ロジックとの比較など)。