危機で稼ぐ!安全資産EAはなぜ効かなかった?

リスク管理 · 1 min

仮説: v1.4.0が核を縮小する株式リスクオフ局面で、安全資産(円買い=クロス売り/金買い)が利益→空き時間を埋める方向性ヘッジ。

本記事は「危機で稼ぐ!安全資産EAはなぜ効かなかった?」の検証を、はじめての方にも分かるようにまとめたものです。

今回の検証は、「研究104 クライシス・アルファ(リスクオフの安全資産フライト)— ★効かず」と題して、FX自動売買(EA)の新たな可能性を探ってみました。

どんなアイデアだったの?

私たちがお使いのEA「v1.4.0」は、株価が不安定になる「リスクオフ局面」(市場全体が不安になり、リスクの高い資産が売られる時期)では、いったんポジションを縮小して様子見する仕組みになっています。これは、大きな損失を避けるための賢い戦略なんですが、「この間、何もできないのはもったいないな」と感じていたんです。 そこで考えたのが、「リスクオフの時こそ買われる『安全資産』で利益を狙えないか?」というアイデアでした。経済が不安な時って、投資家はリスクの高い資産(株など)を売って、安全だと思われる資産に資金を移しますよね。代表的なのが「円」や「金(ゴールド)」です。 「リスクオフの時に、円や金を買うEAを動かせば、メインのEAが休んでいる間の利益を狙えるんじゃないか?」これが今回の仮説。FXで円を買うというのは、「円クロス・ショート」(ドル円やユーロ円など、円が絡む通貨ペアを売る)という形になります。 これは、メインのEAが株のリスクに備えてポジションを減らしている間、別の方向で利益を狙う「方向性ヘッジ」(特定の方向へのリスクを軽減しつつ、別の利益を狙う戦略)にもなるんじゃないか、という期待もあったんです。

どうやって試したの?

このアイデアが本当に有効なのか、過去のデータを使って「バックテスト」(EAを過去の相場データで動かして、その性能を検証すること)で検証してみました。 具体的には、リスクオフの局面で

  1. 「円クロス・ショート」(円買い)を行った場合のパフォーマンス
  2. 「金(ゴールド)買い」を行った場合のパフォーマンス
  3. 複数の安全資産を組み合わせた「安全資産バスケット」のパフォーマンス をそれぞれ確認しました。 さらに、金はリスクオフに強い傾向があるので、「メインEAがリスクオフでポジションを縮小する時でも、金だけは縮小せずにそのまま持ち続ける」というパターンも試してみて、全体の利益率やリスクがどう変わるのかを調べたんです。

結果はどうだった?

円はもはや安全資産ではない…

残念ながら、私たちが期待した「円買い(円クロス・ショート)」は、リスクオフの日でもほとんど利益が出ませんでした…。 これは、2021年から2026年くらいの期間、日本と他の国の金利差が大きく開いたことや、日本銀行(BoJ)が市場に介入したこともあって、円が以前のように「安全資産」として買われにくくなったのが原因だと考えられます。 昔は「有事の円買い」なんて言われたものですが、最近は状況が変わってきているんですね。

金は堅調だけど、すでにEAに含まれてる

一方で「金」はどうだったかというと、こちらはリスクオフの時でも比較的堅調でした。具体的には、リスクオフの日は平均で日次+0.066%の上昇を見せたのに対し、リスクオン(市場が活発な時)の日は+0.045%だったので、リスクオフ時に少し強くなる傾向はありました。 ただ、私たちのメインEA「v1.4.0」は、すでに金(ゴールド)を取引対象に含んでいるんです。なので、金だけを安全資産として追加する意味は薄いかな、という結果になりました。 円と金を組み合わせた「安全資産バスケット」(複数の安全資産をまとめたもの)で試しても、リスクオフ局面での利益はほとんどありませんでした。ほぼ「フラット」(横ばい)だったんですね。

金だけ維持する作戦もイマイチ

じゃあ、金はリスクオフに強いんだから、メインEAがリスクオフでポジションを縮小するときも、金だけはそのまま持っておく(専門用語で「株式フィルタから除外」するといいます)のはどうだろう? と考えました。 これを試してみたところ、月間の平均利益率は0.85%から0.87%へと、わずかに上がったんです。あれ? ちょっといい感じかな? と思いきや… 残念ながら、「ドローダウン」(EAが一時的に被る最大の損失幅。登山で言うと、頂上を目指す途中でどれだけ下りに転じたか、みたいなものです)は-9.6%から-9.8%へと、かえって少し悪化してしまいました。 そして、EAの性能を測る重要な指標の一つである「Calmar Ratio(カルマー比率)」(純利益をドローダウンで割ったもので、数値が高いほど効率的に稼げていると判断できます)は、1.06で全く変わりませんでした。 これは、「金がリスクオフに強い」という特性が、システム全体で見ると他の要因で相殺されてしまい、トータルでの改善にはつながらなかった、ということなんです。

ここから学んだこと

今回の検証でわかったのは、「クライシス・アルファ」、つまり市場が危機的な状況になった時に追加で利益を狙うような明確な方法は、今回のアイデアでは見つからなかった、ということです。 特に、以前は安全資産の代表格だった「円」が、今の市場環境(「現レジーム」)ではその役割を果たさなくなっていることが改めて確認できました。 そのため、今回の検証結果を受けて、既存のEAシステムに変更を加えることはしない、という結論になりました。新しいアイデアを試すのは、いつもワクワクしますね! 今回は残念な結果でしたが、これも貴重なデータの一つです。