他人の1時間足ブレイクを自分の基盤で追試した

手法検証 · 1 min

別プロジェクトで提案されていた「breakout_h1(1時間足のドンチャンチャネルを用いたブレイクアウト戦略)」について、私が運用しているEA(自動売買プログラム)の基盤を使ってクロス検証を行いました。

図: ブレイクアウトのエントリー例(XAUUSD 日足・実データ)。直近の高値を上抜けたところで買います。

図: ブレイクアウトのエントリー例(XAUUSD 日足・実データ)。直近の高値を上抜けたところで買います。

別プロジェクトで提案されていた「breakout_h1(1時間足のドンチャンチャネルを用いたブレイクアウト戦略)」について、私が運用しているEA(自動売買プログラム)の基盤を使ってクロス検証を行いました。 今回の検証のポイントは、同じ戦略を異なるエンジンで動かした際に、本当に推奨されているパフォーマンスが出るのか、そしてプロップファーム(資金提供会社)の厳しい審査基準をクリアできるのかという点です。

検証の結果:別トラック提案の2つのレバーは「有害」

まず、別プロジェクトで提案されていた2つの追加機能について検証しましたが、結果は残念なものでした。

  • ショート・スリーブ(ロングとショートを組み合わせる手法): 別トラック側の主張では「リスク調整後のリターンが約2倍になる」とされていましたが、私のEA基盤で検証すると、ショート単体で純損失(OOS:期間外データで-17.5%、IS:期間内データで-43.3%)となりました。ロングとショートの相関も-0.05とほぼ無相関で、ヘッジとして機能せず、むしろ全体の効率を悪化させる「ドラッグ(お荷物)」であることが分かりました。
  • overlay(ドローダウンを削減する機能): こちらも「ドローダウンを32%から20%へ削減する」という主張でしたが、実際にはoverlayをオフにした方が効率は良く(効率9.40→5.04)、リターンも低下するという結果に。過去の研究結果とも一致しており、この機能は「オフ」が正解です。

プロップ審査の壁:M1日中検証で見えたリスク

今回の検証で最も重要だったのが「M1日中(1分足で日中の口座推移を再構築したシミュレーション)」です。プロップファームの多くは「1日で5%以上の損失を出すと失格」といった厳しいルールを設けています。 検証の結果、別トラックが推奨するリスク設定(0.3-0.5%/ペア)で運用すると、2024年4月29日の介入時のように、日次損失が5%を超えてしまい、ルールに抵触することが分かりました。

  • リスク0.004設定:最悪日次損失 11.55%(3日間で発生)
  • リスク0.003設定:最悪日次損失 8.95%(3日間で発生) プロップのルールを考慮すると、リスク設定は最大でも「0.0015/ペア」程度に抑えるのが現実的です。これは別トラック側が推奨する数値の半分から3分の1という厳しい制約になります。

結論:戦略の真の強化とは

今回のクロス検証を通じて、breakout_h1を実運用に耐えうるレベルへ引き上げるために必要なステップが明確になりました。

  1. リスク設定の是正:プロップの安全基準(約0.15%/ペア)まで引き下げる。
  2. overlay機能の完全オフ。
  3. ショート・スリーブの棄却。 別トラックが主張していた「月利+2.62%」といった高いパフォーマンスは、私のEAエンジン(次足始値での約定+リアルなコスト計算)では再現できず、実際のドローダウンも-38%近くまで膨らむことが判明しました。このドローダウンの正体は、特定の通貨ペアの問題ではなく、7つの通貨ペアが同時に不調期を迎える「相関ドローダウン」にあります。 私自身が開発している「EA Core System v1.2.0」では、このトレンド核(breakout_h1)をベースにしつつ、時間軸の分散(H1/H4/D1)や、本当に相関の低いスリーブを組み合わせることで、リスクを抑えながら硬化させています。今回検証した別トラックの追加機能は残念ながら脱落となりましたが、EA基盤による厳密な検証が、戦略の「本当の姿」を浮き彫りにしてくれたと感じています。

この検証のつながり

この検証は、過去の次の検証を踏まえています(前回ダメだった→今回こうした、別ロジックとの比較など)。