YouTubeグランビル法則をEA検証!「優位性無し」の真実

手法検証 · 1 min

動画「0から勝てるグランビルの法則」(霊夢・ゆっくり解説、同「3波狙い」シリーズ)。指標は**200EMAのみ**。核=上昇トレンド中に価格が200EMAへ押し→再クロス/反発で3波初動を狙う。動画自身が**機械化困難度=低(核は主観的エリオット波形認識・グランビルは補助)**と明記。

本記事は「YouTubeグランビル法則をEA検証!「優位性無し」の真実」の検証を、はじめての方にも分かるようにまとめたものです。

図: 逆張り(RSI)のシグナル例(EURUSD 日足・実データ)。RSIが売られすぎ圏に入った反発を狙います。

図: 逆張り(RSI)のシグナル例(EURUSD 日足・実データ)。RSIが売られすぎ圏に入った反発を狙います。

今回は、YouTubeでよく見かける「グランビルの法則」を使ったFX手法、特に200EMA(指数移動平均線)に注目した「3波狙い」が、EA(自動売買)としてどこまで通用するのかを検証してみました。

どんなアイデア?

今回の検証の元になったのは、YouTube動画「0から勝てるグランビルの法則」(霊夢・ゆっくり解説、同「3波狙い」シリーズ)で紹介されていた手法です。 この手法の核は、200EMA(指数移動平均線)だけを使うというシンプルなもの。上昇トレンド中に、価格がこの200EMAに近づいてきて、そこから再度クロスしたり、あるいは反発したりするタイミングを狙って、「トレンドの3波」の初動を取ろう、というアイデアなんです。 動画の中では、この手法について「機械化は難しいですよ」と明言されていました。なぜなら、一番大事なのはトレーダーがチャートを見て判断する「主観的なエリオット波動の認識」であり、グランビルの法則はあくまで補助的な役割だから、とのこと。 これって、料理のレシピでいうと、「愛情を込めて煮込む」が一番大事で、調味料は二の次、みたいな感じですね。肝心な部分が「感覚」なので、EAにするのはかなり骨が折れそうだな、というのが最初の印象でした。

どうやって試した?

動画で紹介されていた手法を、私たち独自のEA「GranvilleEma」として機械的に再現し、検証してみました。

裁量判断をEAに落とし込む工夫

本来は「波形認識」(チャートの形を見てトレンドを判断すること)が大事なんですが、EAにそれをさせるのはとても難しいんです。そこで、今回は「EMAの傾き」(移動平均線が上向きか下向きか)でトレンドを判断するように近似させてみました。

3つのモードで検証

グランビルの法則にはいくつかのパターンがありますが、今回は動画のアイデアを元に、以下の3つのモードでエントリーロジックを実装しました。

  1. recross(再クロス):価格が200EMAの下から上に再クロスするタイミング(グランビルの買い2)。
  2. bounce(反発):価格が200EMAの近くでタッチして、そこから陽線(上昇を示すローソク足)で反発するタイミング(グランビルの買い3)。
  3. deviation(乖離からの平均回帰):価格が200EMAから大きく離れた後、平均線に戻ってくる動きを狙う(グランビルの買い4、いわゆる逆張りですね)。 さらに、allow_long(買いのみ)とallow_short(売りも含む)の両方で試しました。もちろん、検証方法に「未来の情報を先読みする」といったズル(リーク)がないかも、しっかり確認していますよ。

結果はどうだった?

STEP1: 最初のテスト(インサンプル検証)

まず、多様な通貨ペアと時間足(H4)を使って、過去のデータでざっくりとEAの性能を試してみました。これを「IS(インサンプル)検証」と呼びます。 結果はというと、なんと全てのパターンでPF(プロフィットファクター = 総利益 ÷ 総損失。1を超えると黒字)がだいたい0.96〜1.01くらいだったんです。 これは要するに、この最初のテストの段階で、ほとんど儲けが出ない、つまり「優位性(エッジ)がない」(優位性がない)という結果だった、ということ。もうこの段階で、ちょっと雲行きが怪しいな、という感じでしたね。まるで、初めての料理を試作したら、味は悪くないけど、特別美味しくもない、みたいな感覚です。

STEP2: 本当に通用するか?(完全前進検証)

次に、その中で比較的マシだったものを選んで、まだEAが一度も見たことのない未来のデータ(検証時に使っていないデータ)でテストしました。これが「OOS(アウトオブサンプル)検証」と呼ばれ、EAが本当に通用するかを確かめる、一番大事なステップです。 私たちの検証では、「頑丈な優位性がある」と判断するためには、最低でも6回中5回以上プラスにならないといけない、という厳しい基準を設けています。

  • recross/long(再クロスで買いのみ):プラス5.6%でしたが、6回中4回しかプラスになりませんでした。
  • bounce/long(反発で買いのみ):プラス5.1%でしたが、こちらも6回中4回しかプラスになりませんでした。 どちらもプラスにはなったものの、私たちの基準(6回中5回以上プラス)には届きませんでした。これは、たまたま相場が上昇トレンドだったからプラスになっただけで、EA自体に安定した優位性があったわけではない、と判断できるんです。いわゆる「ドリフト乗り」、つまり相場の流れに乗っかって一時的にプラスになっただけ、という可能性が高いんですね。例えるなら、たまたま追い風が吹いていたから進んだけど、自分で漕ぐ力は強くなかった、みたいなイメージです。
  • both版(買いも売りも):6回中3回しかプラスにならず、基準には遠く及びませんでした。
  • deviation/both(乖離からの平均回帰、買いも売りも):なんとマイナス25.4%で、6回中2回しかプラスにならず、壊滅的な結果に終わってしまいました。 これは以前の検証(研究⑦⑧)でも確認済みなんですが、逆張り(相場の流れに逆らってエントリーすること)はEAでは非常に難しく、今回も大失敗に終わってしまいました。

ここから学んだこと

今回の検証から、いくつかの重要な学びがありました。

  • 機械化されたグランビルの法則(200EMA)には、安定した優位性(優位性)が見つかりませんでした。 一番良かった「買いのみ」バージョンでも、プラスになったのは相場の上昇トレンドに乗れたから、という側面が強く、EAそのものの力で安定して利益を出せるわけではなかったようです。 そして、逆張りはやっぱり難しい、ということも改めて確認できましたね。
  • YouTube動画の本体は「主観的なエリオット波形認識」だった! 今回の結果から、YouTube動画で紹介されていた手法の「肝」は、やはり「トレーダーがチャートを見て判断するエリオット波動の認識」だった、ということが強く示唆されました。これを機械的に再現しようとすると、その優位性が消えてしまう、という結果になったんですね。以前の研究(研究㊳ MLメタラベル/72 よすが上積み)でも同じようなパターンがあったんです。
  • 教科書的なMA手法の限界 今回の結果は、過去の移動平均線を使った手法全般の検証で得られた結論とも一致しました。それは、「長期トレンドフォロー(買い一択)は有効な場合があるが、押し目買いやMAクロスといったテクニックは、機械化すると安定した優位性が消えてしまう」というものです。
  • YouTube手法の検証パターンが見えてきた 今回の検証(研究83)と前回の検証(研究82)で、YouTubeでよく見かける「3波を確実に取るEMA戦略」系の手法(20/200クロス、グランビルなど)は、どれも機械化された骨格だけでは安定した優位性がなく、裁量部分(トレーダーの判断)が利益の本体になっている、という一貫したパターンが見えてきました。 今後も、私たちの検証基盤youtube_extract.pyを使って、YouTubeで人気の手法を効率的に検証し、その真偽を確かめていきたいと思います。

この検証のつながり

この検証は、過去の次の検証を踏まえています(前回ダメだった→今回こうした、別ロジックとの比較など)。