水平線の重要度を数値にする仕組みを作った

手法検証 · 1 min

これまで「裁量トレードの勘」と呼ばれてきたものを、どこまで論理的に数値化できるか。そんなユーザーからの指摘をきっかけに、EAの検証基盤を大きくアップデートしました。

これまで「裁量トレードの勘」と呼ばれてきたものを、どこまで論理的に数値化できるか。そんなユーザーからの指摘をきっかけに、EAの検証基盤を大きくアップデートしました。 私たちが検証したかったのは「効いているラインは数値化できるか」という点です。機械学習のような複雑でブラックボックス化しやすい手法ではなく、人間が納得できるシンプルな指標(低自由度な指標)で統計的に勝てるのかを確かめてみました。

レベル・エンジンの導入と定量化

新たに「レベル・エンジン」という仕組みを組み込みました。これは、チャート上の水平線(サポレジ)を自動でスコアリングするものです。 タッチ回数や反発の強さ、ブレイクの勢いなどを計算し、反応せず何度も抜かれたラインは「無効」と判断して除外します。これらすべては、未来の情報を先読みしないよう厳密に設計された計算式で行っています。 この重要度スコア(どれだけラインが意識されているか)を、既存の押し目買いロジック「よすが式」に追加し、スコアが高い場所だけでエントリーするように制限をかけました。

前進検証による頑健性の確認

検証手法として、過去のデータで最適化するだけでなく、期間を区切って未来のデータでテストする「前進検証」を行いました。

重要度スコア閾値期間勝率(4-6年)期間合計リターン
なし(OFF)4/6年+25.9%
スコア10以上4/6年+45.3%
スコア25以上5/6年+27.2%
スコア50以上3/6年+1.9%
スコアを上げすぎると取引回数が減って収益が落ちますが、10〜25という中程度の範囲で、PF(プロフィットファクター=総利益÷総損失。1を超えると黒字)が向上し、DD(ドローダウン=資産の山からの下落率)が半減する結果が得られました。特筆すべきは、スコア25以上で「5/6年プラス」という、これまでの押し目系ロジックでは到達できなかった高い頑健性を叩き出したことです。
さらに、この設定が偶然ではないことを確かめるため、15種類のパラメータ設定で網羅的にテスト(パラメータ頑健性ガントレット)したところ、14種類が「5/6年プラス」を達成。これは本物の優位性(エッジ)と言っていい結果です。

本番運用へ向けた最終チェック

実運用を見据えて、より厳しいゲートを通した結果がこちらです。

  • 相関: +0.52(トレンド追従の性質は残るが、従来より独立性が向上)
  • パフォーマンス: PF 1.63 / Sharpe比 1.16 / DD -7.8%
  • リスク耐性: M1日中(1分足での最悪の日次損失)は4.18%で、安全圏を確認 比較対象である「核となるブレイクアウト手法」のPF 1.27 / DD -13.3%と比較しても、今回のフィルタリングによって、より滑らかで安定した右肩上がりの収益曲線(equity)が期待できることが分かりました。

結論

今回の検証で、「裁量の核であるライン認識を機械化し、低自由度の指標で定量化する」というユーザーの仮説は実証されました。 この手法は、全く別の動きをする独立したロジックというよりは、トレンドを追いかける力をより精緻にするための「強化パーツ」です。滑らかな収益曲線を実現できるため、資産をコツコツと増やし、定期的に出金するような運用には非常に適しています。今後は、既存のシステムと統合することで、全体の運用成績がさらに向上するかを検証していきます。

この検証のつながり

この検証は、過去の次の検証を踏まえています(前回ダメだった→今回こうした、別ロジックとの比較など)。

関連コード(再現用)

この検証は以下のスクリプトで再現できます(リポジトリ参照)。

  • btengine/levels.py