
短期EAに「賢い目」を!上位足フィルターで優位性を強化
研究61の続き。BreakoutLong に**後方互換**でフィルタ追加(=上位足トレンド方向 resample→SMA→shift(1)→ffill でリーク無し /=ADXトレンド強度)。Core System回帰=完全一致(+89.4%/DD-9.0%/MC85.2%)を確認。境界TF(M1
本記事は「短期EAに「賢い目」を!上位足フィルターで優位性を強化」の検証を、はじめての方にも分かるようにまとめたものです。

図: ブレイクアウトのエントリー例(XAUUSD 日足・実データ)。直近の高値を上抜けたところで買います。
今回の研究は、以前検証したEA「BreakoutLong」に、さらに賢いフィルターを追加したらどうなるか、というお話です。短い時間足のトレードって、どうしても取引コストが課題になりがちですよね。そこをフィルターで改善できるか、じっくり検証してみました!
どんなアイデア?
私たちのEA「BreakoutLong」は、特定のパターンでエントリーするEAなんですが、今回はそこに「フィルター」をいくつか追加して、さらにトレードの質を高められないかと考えました。 具体的に追加したのは、大きく分けて2種類のフィルターです。
- 上位足トレンド方向フィルター(
htf) これは、もっと大きな時間足(例えば日足D1など)で、今が上昇トレンドなのか下降トレンドなのかを見て、それに合った方向のトレードだけを選ぶフィルターです。 例えるなら、「今日は追い風だから、追い風に乗る方向で進もう!」と判断するようなものですね。 - ADXトレンド強度フィルター(
adx_min) ADX(エーディーエックス)というインジケーターを使って、今のトレンドにどれくらいの勢いがあるのかを判断します。トレンドが弱い時は取引を控える、といったイメージです。 「風が弱くて進みにくい時は、無理せず待機しよう」と考えるのに似ています。 これらのフィルターを追加することで、「質の低いトレード(つまり、あまり利益が出なかったり、損失につながりやすいトレード)」を減らして、取引回数を抑えつつ、最終的な利益率(PF)を上げて、最大損失(DD)を減らすことを目指しました。まるで、料理で「食材を厳選して、無駄な部分を省く」みたいなイメージですね。
どうやって試した?
私たちは、既存のEA「BreakoutLong」に、これらのフィルターを後方互換(既存の機能に影響を与えず、新しい機能を追加すること)で組み込みました。つまり、フィルターを外せば元のEAと全く同じ動きになることを確認した上で、フィルターがどれくらい効果を発揮するかを検証したんです。 特に、短期足の中でも比較的取引回数が多いM15(15分足)とM30(30分足)に絞って、様々なフィルターの組み合わせを試してみました。
結果はどうだった?
フィルターは狙い通りに機能した!
まず、基本的なこととして、今回追加したフィルターは「質の低いトレードを削る」という機構として正しく機能することが分かりました! 具体的には、フィルターをかけることで取引回数が減り、それに伴って取引コスト負けが緩和され、PF(プロフィットファクター = 総利益 ÷ 総損失。1を超えると黒字)が向上し、DD(ドローダウン = 最大資産減少率。登山でいう「どれだけ下りに転じたか」のようなもの)が減少するという、期待通りの効果が見られたんです。 特に効果的だったのは、「上位足D1(日足)の方向フィルター」でした。大きな時間足の流れに逆らわない、というシンプルなルールが、やはり強いんですね。
時間足ごとの成績を見てみましょう
- M30(30分足)の場合 M30では、フィルターの効果がハッキリと現れました!
- 上位足D1の方向フィルターを追加: 取引回数が3009回から1882回へと、約4割も減りました。PFは1.19から1.25に改善し、DDも-16.2%から**-11.5%**へと、リスクが大きく軽減されたんです!
- さらにD1方向とADX>20フィルターを追加: 取引回数はさらに減って1463回になりましたが、PFは1.26、DDは**-10.5%**と、さらに磨きがかかりました。 さらに驚くことに、+0.5pipという現実的な取引コスト(スプレッドや手数料を考慮した実践的なコスト)を加えても、PF1.21を維持できたんです。これはかなり良い数字と言えますね!
- M15(15分足)の場合 M15では、どのフィルターを使っても改善は見られたものの、+0.5pipの現実コストを加味すると、残念ながらPFが1を下回ってしまいました(0.96〜0.99)。つまり、コストを考えると、この時間足では利益を出すのが難しい、という結果なんです。
- M5(5分足)の場合 M5に至っては、どんな強力なフィルターをかけてもPF0.79と、完全に「死んで」しまいました。この時間足では、取引回数が多すぎて、どうしてもコスト負けしてしまうんですね。
ここから学んだこと
フィルターで磨いても、短期足の劣位は覆らない
今回の研究でハッキリ分かったのは、「フィルターでどんなに磨いても、短い時間足(M5やM15)のEAは、現実的な取引コストを考えると、なかなか利益を出すのが難しい」ということです。 M30でさえ、かなりフィルターで磨いてPF1.26/DD-10.5%まで改善しましたが、それでも「フィルターを何も使わないH1(1時間足)のEA」の成績(PF1.36/DD-8.6%)には及びませんでした。 要するに、「短い時間足のEAを頑張ってフィルターで良くする」よりも、「最初から長い時間足(H1やH4、D1など)のEAを使う」方が、シンプルに良い結果が出る、ということなんです。これは、私たちが現在採用しているシステムが、H1/H4/D1をメインにしていることの妥当性を、改めて裏付ける結果となりました。
上位足方向フィルターは汎用機能として残置
ただ、今回の検証で開発した「上位足方向フィルター(htf/adx_min)」は、EAの汎用的な機能として残しておくことにしました。これは、将来的に他のEAや、別の時間足で検証する際に役立つ可能性があるからです。
メインのEA(Core System)には、このフィルターは採用しないのがベスト、という結論になりました。これは、以前の研究(研究51)で、「EA全体の最大損失は、個別の銘柄の損失が原因ではない」ということが分かっていたので、その結果とも一致しています。
今回の研究で、短期足の限界と、時間足選びの重要性が改めて浮き彫りになりましたね。皆さんもEAを選ぶ際は、ぜひこのあたりも参考にしてみてください!
この検証のつながり
この検証は、過去の次の検証を踏まえています(前回ダメだった→今回こうした、別ロジックとの比較など)。