
一目均衡表とSupertrend、EAにして勝てるのか
一目均衡表とSupertrend(ATRという指標をベースに、トレンドの転換を追うテクニカル指標)を、既存のトレンドフォロー戦略に組み込めるか検証しました。結論から言うと、単体では優秀でも、既存システムに加えるメリットは薄いという結果です。
一目均衡表とSupertrend(ATRという指標をベースに、トレンドの転換を追うテクニカル指標)を、既存のトレンドフォロー戦略に組み込めるか検証しました。結論から言うと、単体では優秀でも、既存システムに加えるメリットは薄いという結果です。 検証は2015年から2024年の8通貨ペアで行いました。まずはH4(4時間足)での結果です。
| 指標 | 総利益率 | PF | Sharpe | 勝ち年数 |
|---|---|---|---|---|
| 一目均衡表 | 42.9% | 1.11 | 0.45 | 7/10年 |
| Supertrend | 49.1% | 1.14 | 0.48 | 6/10年 |
| 従来のBreakout | 13.6% | - | 0.22 | - |
| ※PF(プロフィットファクター=総利益÷総損失。1を超えると黒字) | ||||
| ※Sharpe(シャープレシオ=収益の安定度を示す指標。高いほど効率が良い) | ||||
| H4においては、どちらの指標も従来のBreakout(価格が一定の壁を越えたら追随する手法)を上回る成績を残しました。D1(日足)でも一目均衡表はプラスでしたが、Supertrendは単体ではマイナスとなり、SMA150(150日移動平均線)を組み合わせることでようやくプラスに転じるという状況でした。 |
既存戦略との高い相関がネック
成績だけ見れば悪くないのですが、問題は従来のBreakout戦略との関係です。日次の相関を計算したところ、0.82から0.86と非常に高い数値が出ました。 これは登山でいうなら、同じ頂上を目指すのに別々のルートを歩いているつもりで、実はすぐ隣の崖を登っているようなもの。分散投資の材料としては機能しません。価格の変化を捉えるトレンドフォローの手法は、結局どれを使っても似たようなタイミングで売買することになる、という裏付けがまた一つ増えた形です。
システムへの組み込みを断念
「それなら、今使っているBreakout戦略をこれらに差し替えたらどうか?」と考え、実際にFXのロジックを入れ替えてテストしてみました。
- 確定版(Breakout):月利0.47% / DD -9.0% / MC 85.1% / PF 1.30
- 差替版(一目均衡表):月利0.38% / DD -12.6% / MC 72.8% / PF 1.15 ※DD(ドローダウン=資産の山からの下落率。登山でいう「どれだけ下りに転じたか」) ※MC(モンテカルロ合格率=過去のデータから計算した、プロップファームの合格確率) 結果は全面的な悪化です。一目均衡表はトレード回数が2.3倍に増えたことでコストがかさみ、DDも制限を超えてしまいました。一目均衡表の基準線で手仕舞うルールが頻繁に発動し、利益を伸ばしきれなかったのが大きな原因です。 単体の指標で成績が良くても、システム全体として見たときに勝てるとは限らない。今回の検証で、既存の堅実なシステムをあえて入れ替える必要はないと判断しました。
この検証のつながり
この検証は、過去の次の検証を踏まえています(前回ダメだった→今回こうした、別ロジックとの比較など)。
関連コード(再現用)
この検証は以下のスクリプトで再現できます(リポジトリ参照)。
scripts/research/study_final_ichimoku.py