チャートの矢印が示す秘密!フラクタルブレイクアウト

却下手法 · 1 min

ビル・ウィリアムズ・フラクタル(中央バーが前後n本より高安、i+n本目で確定)のブレイク。指標 追加(ルックアヘッド防止: 確定時刻へshift+ffill、合成データで検証済)。

本記事は「チャートの矢印が示す秘密!フラクタルブレイクアウト」の検証を、はじめての方にも分かるようにまとめたものです。

図: ブレイクアウトのエントリー例(XAUUSD 日足・実データ)。直近の高値を上抜けたところで買います。

図: ブレイクアウトのエントリー例(XAUUSD 日足・実データ)。直近の高値を上抜けたところで買います。

今回は、ビル・ウィリアムズ氏が考案した「フラクタル」というテクニカル指標を使ったブレイクアウト戦略を検証してみました!このフラクタル、チャート上にポツンと現れる矢印のようなマークで、高値や安値を示すサインとして有名なんですよ。

どんなアイデア?

「フラクタル」って、もともとは複雑な図形のことなんですが、FXの世界ではビル・ウィリアムズ氏が提唱した、ちょっと特別な高値・安値を示すサインなんです。具体的には「中央のローソク足が、その前後n本のローソク足よりも高値(または安値)だった場合にマークされる」というもの。 このフラクタルのサインが出た時って、「あ、ここにレジスタンス(抵抗線)やサポート(支持線)があるかも?」って感じがしますよね。だから、そのフラクタルで示された高値や安値を価格がブレイクアウト(突破)した時に、トレンドに乗ってエントリーしたらどうなるんだろう?というアイデアを試してみたんです。 検証では、indicators.fractals() というツールを使ったんですが、EA検証でよく問題になる「ルックアヘッド(未来のデータを見てしまう現象)」を防ぐために、フラクタルが確定するタイミングまでずらして、しっかり対策をしました。これ、未来を先読みしてしまわないように、慎重に進めたんですよ!

どうやって試した?

まずはシンプルな方法で試してみました。

最初の試み:フィルターなしで売り買い両方

フラクタルをブレイクしたら、売りも買いも行うという、一番シンプルな形で検証。結果は……なんと、H1(1時間足)で-98%、D1(日足)で-13%と、もう壊滅的な結果になっちゃいました。H4(4時間足)でかろうじて+1%でしたが、これはもう誤差レベル。やっぱり、フィルターなしで何でもかんでもエントリーするのは危険なんですね。

次の試み:ロングオンリー(買いだけ)+移動平均線フィルター

これではダメだ、ということで、次にいくつか工夫を加えてみました。 まず、エントリーを「ロングオンリー(買いだけ)」に限定。そして、SMA(単純移動平均線)という、トレンドの方向を示す代表的な指標を使って、「移動平均線が上向きの時だけエントリーする」というフィルターを追加しました。 この改良版でテストしたところ、最初は良い感じに見えたんです!

  • 固定IS/OOS(インサンプル/アウトオブサンプル)での検証: EAのパラメーターを最適化する期間(IS)と、そのパラメーターでまだ見ていない期間(OOS)でテストする方法です。
  • D1(日足): 全期間でなんと**+13.8%**の利益!PF(プロフィットファクター=総利益÷総損失)も1.39と、1を超えているので黒字です。DD(ドローダウン=資産が一時的に最高値からどれだけ減ったか。登山でいう"どれだけ下りに転じたか"のようなもの)も-5.7%と比較的穏やかで、一見すると「お、これはいけるかも?」という期待が持てる数字でした。
  • H4(4時間足): こちらも**+24.6%**と好成績! これだけ見ると、「フラクタル、意外と使えるじゃん!」って思いますよね。 でも、ここからが重要なんです。

真の試練:ウォークフォワードテストで崩壊…

上記の「固定IS/OOS」テストは、ある意味“過去のデータに最適化しすぎた結果”が出やすいという落とし穴があるんです。そこで、より実践的で厳しい検証方法である「ウォークフォワードテスト(前進選抜)」を試してみました。 これは、定期的に最適化期間をずらしながら、まるで未来の相場を実際にトレードしていくようにテストする方法なんです。例えるなら、登山で「この先、どんな道になるか分からないけど、今までの経験を活かして進む」というイメージ。これなら、特定の期間にたまたまハマっただけのロジックではないか、頑健(どんな状況でも安定して機能する)かどうかを厳しくチェックできるんです。 結果は……残念ながら、このウォークフォワードテストで、あっけなく崩壊してしまいました。

  • D1(日足): 通算で**-8.4%**の損失。勝ちトレードが1回に対し、負けトレードが7回という散々な結果に。
  • H4(4時間足): こちらも通算で**-5.4%**の損失。勝ち3回、負け7回と、やはり負け越しです。 固定IS/OOSでの好成績は、まるでまぼろしだったかのように、現実の相場では全く機能しなかった、ということなんですね。

フラクタルって結局何だったの?

このウォークフォワードテストでの壊滅的な結果を見て、なぜこうなったのか、さらに深掘りしてみました。 実は、以前に検証した「トレンド核(BreakoutLong robust5 H1)」というブレイクアウト系のロジックと、フラクタルを使った今回のロジックの日次相関(毎日どれだけ似た動きをするか)を調べてみたんです。すると、なんと0.83という非常に高い相関があることが分かりました。 これは何を意味するかというと、フラクタルが検出している「高値・安値」は、実質的に「スイング高安検出器」、つまり「ドンチャン・チャネル(特定期間の最高値と最安値をラインで表示するテクニカル指標)」のようなものだ、ということなんです。要するに、フラクタルは目新しい優位性(エッジ)(相場において統計的に優位性のある取引手法や機会)を提供しているわけではなく、「既存の概念を別の形で表現しているだけ」だった、という結論に至りました。

ここから学んだこと

今回の検証から、いくつか大切なことを学びました。

  1. 固定IS/OOSの好成績は要注意! 最初に見た良い結果は、特定の期間にパラメーターを合わせすぎた「選択バイアス」や「過剰最適化」によるものだった、ということがはっきりしました。これって、特定のテスト期間ではすごく儲かったように見えても、いざリアルな相場で使ってみると全然ダメ、というEAにありがちなパターンなんです。
  2. フラクタルに単独で安定した優位性は無かった 残念ながら、フラクタルという指標そのものには、どんな相場でも安定して利益を出せるような「頑健で前進安定な優位性」は見つけられませんでした。他の一般的なテクニカル指標と同じく、単体で使うだけでは優位性を見出すのは難しい、という結論です。
  3. ウォークフォワードテストの重要性 今回のように、一見良さそうなロジックでも、ウォークフォワードテストにかけるとボロボロになる、ということがよくあります。これは、EAが未来の相場でも通用するかどうかを判断するために、このテストがいかに重要かを示していますね。 期待を込めて検証したフラクタルブレイクアウトでしたが、今回は残念な結果に終わってしまいました。でも、これも大切な学びの一つです。これからも、一つ一つの検証を丁寧に続けて、本当に使えるEAを見つけていきたいと思っています!