
束ねた戦略でプロップ合格率はどこまで上がるか
EAのポートフォリオを組む際、リスクをどの程度まで許容できるのか。今回はプロップファーム(資金提供を受けて運用する仕組み)の合格基準を意識しつつ、リスク設定別の合格確率と、1分足(M1)を用いた日中の耐性を検証してみました。

図: モンテカルロの考え方(シミュレーション例)。あり得た口座の運命を何千通りも再生し、運の幅ごと評価します。
EAのポートフォリオを組む際、リスクをどの程度まで許容できるのか。今回はプロップファーム(資金提供を受けて運用する仕組み)の合格基準を意識しつつ、リスク設定別の合格確率と、1分足(M1)を用いた日中の耐性を検証してみました。
リスク設定と合格確率のシミュレーション
まず、リスクを1%に設定した場合のMC(モンテカルロ合格率=日次リターンを再標本化してプロップ合格確率を推定した値)を確認します。
| 設定項目 | 合格確率 |
|---|---|
| STEP1(初期選考) | 77% |
| 全体通過 | 64% |
| この構成はドローダウン(資産の山からの下落率)が低く抑えられているため、リスクを上げる余地があります。ただし、リスクを1.5%以上に引き上げると、最大損失による失格リスクが急増するため注意が必要です。ちなみに、リスク1%設定時の最大損失による失格率は9%、中央値となる運用期間は261日でした。 |
1分足で見る日中の安全性
プロップ運用の現場では、日中の急な動きでどれだけ資産が沈むかが死活問題になります。そこで、2022年から2025年のデータを用い、リスク1.5%でM1日中検証(1分足で日中の口座推移を再構築したときの挙動)を行いました。 結果は、利益率+35.8%、PF(プロフィットファクター=総利益÷総損失)1.52となりました。肝心の「最悪日次損失」は2.67%に留まり、日次での失格や隠れたリスクの顕在化もありませんでした。 以前検証した金Donchian手法と比較すると、この手法は分散が効いているため、日中にまとめて含み益を吐き出すような動きが起きにくいのが強みです。この安定感は、プロップ運用において非常に心強い材料になります。
今後の課題と運用リスクの目安
現在の到達点は、相関の低い優位性(エッジ)を組み合わせることで、低ドローダウンかつ高安定な運用を実現し、合格率64%を確保できたことです。これは継続的な出金を目指すうえで現実的なラインといえます。 ただし、実運用に移る前には、以下の2点を確認しなければなりません。 ・前進検証:構成の選択段階からOOS(アウト・オブ・サンプル=過去データで最適化せず、未知のデータで検証すること)を行い、選択バイアスを排除する。 ・テールリスク対策:2020年のコロナショックのような急激な環境変化に備え、リスクを控えめにするか、危機検知の仕組みを組み込む。 これらを踏まえた推奨運用リスクは、1成分あたり0.7〜1%です。この範囲であれば、2020年の過酷な相場環境下でもドローダウンを10%前後に抑えられる見込みです。